another #11 ページ17
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「A、着いたで」
それからのことはあまり覚えていなくて、
気付いたら流星くんが肩を支えてくれていて、私と淳太くんの家の前にいた。
流星くんがインターホンを鳴らすと、間もなくして玄関が開く。
…淳太くん、帰ってきてたんだ。
怒ってるかな。
淳太くんの顔が見れない。
「すまん、早く帰せへんくて」
「…いや、こっちこそすまん。世話かけたな」
そんな会話が頭上で交わされると、
淳太くんが私を引き寄せた。
淳太くんの匂いだ。
片手で抱きとめられて、まるであの時みたいだな、なんて昔の記憶が蘇る。
『…じゅん、たくん…っ』
ドアが閉められ、小さく名前を呼ぶと、突然体が宙に浮いた。
お姫様抱っこで運ばれ、そっとベッドに降ろされる。
「上着脱いで?着替え持ってくるから」
表情ひとつ変えず、淳太くんは淡々と私を部屋着に着替えさせていく。
淳太くん、やっぱり怒ってるかな。
連絡もしないで帰りが遅くなるのは初めてだし、
挙句、酔い潰れて帰ってくるなんて。
呆れた…?
『…淳太くん、』
「水飲んで。もう寝や」
『淳太くんっ、!』
淳太くんの腕を掴んで、寝室から出ていこうとする彼を引き止めた。
『怒ってる…?』
「……怒ってるよ、」
『…ごめん、なさい』
この顔、知ってる。
会ったばかりの頃、淳太くんを怒らせた時。
こんな、冷たい顔してた。
「……心配した」
『…え、』
でも、昔と違うのは、
そうやって優しく抱き締めてくれるとこ。
やっぱり淳太くんは、どこまでも優しい。
「帰ってきたらおらんし、何の連絡もないし、…流星が連絡くれたからよかったけど、」
少し不貞腐れたような、不機嫌なその声。
体を離して、私の目を見据えた。
「…流星とおったん?」
『…と、小瀧くん』
「なんで、」
なんでって、それは
『……淳太くんのせいだよ』
「え、?」
『……淳太くんが帰り遅いって言うから』
「やからって他の男と一緒におるん?」
『淳太くんだって、!』
じっと目を見ると、
淳太くんは眉間に皺を寄せた。
『白河さんと一緒だったくせに…!』
いい年した大人が、嫉妬に声を荒らげるなんて、情けない。
とは思いつつも、高ぶった感情を抑えることはできなかった。
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きしぽん(プロフ) - 可愛いカミ様さん» ありがとうございます!!励みになります!^^ (2017年8月24日 14時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
可愛いカミ様 - 最高ですっ!これからも応援しています。無理せず頑張ってください。 (2017年8月22日 15時) (レス) id: d90d4201fa (このIDを非表示/違反報告)
きしぽん(プロフ) - 光葉さん» ありがとうございます!流星くんのはちょっと重ためのお話になってしまったんですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!! (2017年4月27日 1時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
光葉(プロフ) - another story 感動しました。メインストーリーからの成長がわかり、凄く心に響きました (2017年4月26日 20時) (レス) id: 87b8702e28 (このIDを非表示/違反報告)
きしぽん(プロフ) - むーさん» わぁぁぁありがとうございます!( ;∀;) そう言っていただけてすごく嬉しいです!!更新遅めですが楽しんでいただけるように頑張ります! (2017年4月18日 10時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2016年10月30日 18時