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27、長き一日 ページ29

Aside


私は次の日、伊達メガネを外して、髪型を整えた姿で登校した。

学校に行くまではバレないように帽子を被った。

街の人にまでバレたくないからね…

そして学校に到着。

私は自転車から降りる時に帽子を脱いだ。

いつも通り朝練があるため、私はその準備をした。

ちょうど準備が終わる頃に部員達がぞろぞろと部室から出てきた。

その中には仁王もいた。

まぁ当然だけど。

私はちゃんと言う通りにしてきたという事を報告するためにその集団に近づいた。

『仁王、おはよう。ちゃんと言う通りしてきたよ。』

仁「おーちゃんとしてきたんか。……ククッ、思った通り良い反応するのぅ。」

良い反応?

『良い反応ってどういうこと?』

仁「気づいとらんのか。周りを見てみんしゃい。」

言われた通り周りを見回してみると皆固まったり、口を開いたり閉じたりしていて、中には赤面している者もいた。

え、大丈夫?

『なんで皆こんなになってんの?』

意味が分からない。

丸「…お前、分かってないのか?」

『うん。』

丸「うっわぁー、マジかよ。」

マジだけど。

2人と会話をしていると2年生の部員が話しかけてきた。

「あの…柊先輩であってますか?」

『うん、あってるよ。』

他に誰がいるのさ。

するとその子は納得したような顔になった。

「じゃ、じゃあ!柊先輩が鬼才って呼ばれてる“柊A”っていう噂、本当ですか?」

あ……

やっぱり広まってるんだね…

私は諦めて正直に答えた。

『本当だけど…』

その瞬間、その子の顔はとても明るくなった。

「あ、握手してください!!俺、先輩のファンだったんです!!」

握手?

ファン?

私ってそんなに凄い人じゃないと思うんだけど。

『別にいいけど、得はしないと思うよ。』

「そんな事ありません!!」

『そ、そう…』

まさか、勢いよく否定されてしまうとは。

私はその子と握手をした。

その後はアイドルになったかのように人に囲まれた。

中にはサインや写真を求める子も。

私、サインなんかないし。

それに写真は学校外の人にバレるからやだ。

私がもみくちゃにされていると幸村が声をかけた。

幸「ほらほら、朝練始めるよ。」

その声で部員達は惜しそうな顔をしながらも、急いでテニスコートへと向かった。

これはもしや……

『ねぇ幸村。私ってもしかして目立ってた?』

幸「もしかしなくても目立ってたよ。」

はぁ…

今日は長い一日になる気がした。

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作者名:澪音 | 作成日時:2021年2月21日 18時

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