検索窓
今日:5 hit、昨日:9 hit、合計:313,740 hit

3 ページ3

*




『いきなりすみません、びっくりしましたよね』

「あ、いや…こちらこそ変な声出してごめんなさい」



へこへこと謝るその人は気まずそうに口籠る

よく見ればなかなか独特な服を着ていて、何系?下北系?わかんないけど



いやいや、

変な声出すし、なんならフォーク持ったままだし

これじゃあ私の方が断然おかしな人だから引かれたよね





っていうか、僕の鍵…ぼくのかぎ…





「っあ、鍵!」

『思い出してもらえました?』

「ごめんなさい今思い出しました。お兄さんのだったんですね」

『はい、拾ってくださってめちゃくちゃ助かりました』





ありがとうございます、って深々頭を下げるお兄さんに少々戸惑う

だって、拾ってお店の人に渡しただけだし

こんなに感謝されるのも気まずくて何か言わなきゃと考えていると

ちょうどカップを乗せたトレーを運んできた定員さんが

お兄さんに隣の席を促し、そこにすごすごと腰掛けた








「…ちなみに、お家の鍵でした?」

ぱっと頭に浮かんだことを口に出してみる



カップに口をつけていたお兄さんは急いで一口飲んでこっちを向いた



『っそうです、家の鍵で』

口元を隠しながら俯きがちにそう返してくれた



その時ちらっと見えた横顔

肌綺麗だし私よりうんと若いのかも、学生さんかな







…いや、それより



「なんで私って、?」



もう随分前のことだし、直接会ったわけじゃないのに



『えっと、あの店員さんが、』




お兄さんが指差した方を見ると

確かにあの時鍵を拾って渡した店員さんだと思い出す

目が合うとにこにこと可愛いく微笑んで会釈された

このお店一回しか来たことないのに覚えてるなんて

接客業の人ってほんとすごいなぁ





『僕今日たまたま仕事早く終わってここ来たんです。

 そしたらこの前鍵拾ってくれた方ですって教えてくれて』


『あの日地方で仕事があって新幹線の中で鍵なくしたって焦って』


『記憶を辿って色んなところ電話したらここにあって』


『だから、本当に助かりました。ありがとうございます』





へぇそっか、なんて呑気に話を聞いてたらまた頭を下げられて

いやいやもう十分ですからと頭を上げてもらうと

初めて顔が正面を向いて



どこまでも呑気な私は「わぁ、綺麗なお顔」なんて

その時はぼんやりそんなことを思うだけだった

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (732 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2977人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

つかさ(プロフ) - りんさん» お返事遅くなりすみません。いつもお読み頂きありがとうございます! (2023年1月12日 2時) (レス) id: 0c34a2e1f9 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 久々更新嬉しいです!!また続き待ってます🥹 (2023年1月3日 23時) (レス) id: 480bf35fa8 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - nanamisato73さん» お読みいただきありがとうございます^^偶然の出会い、嬉しいです。私も割とこんな性格なので同じと思ってくれる方がいると嬉しくなります。更新遅めですが気長に待っていただけると幸いです! (2022年5月21日 20時) (レス) id: 06d07b2f00 (このIDを非表示/違反報告)
nanamisato73(プロフ) - 初めまして、主さんが書く主人公の人間性?思考が、自分そのままで一瞬で読み終わってしまいました。夢の中であっても理解されている気がして嬉しかったです。美味しそうなタイトルなので開いてみてまさに偶然の出会いすぎました。この後の展開が楽しみです! (2022年5月21日 10時) (レス) @page25 id: 29f3f3b2e7 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - りんさん» お読みいただきありがとうございます^^え〜うれしいです…更新遅いですが待っててくださると幸いです。 (2022年3月13日 23時) (レス) id: 06d07b2f00 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:つかさ | 作成日時:2022年2月23日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。