カフェラテとカプチーノ

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*Hokuto side




＿雨ですね、今日

＿外で撮影ですか？

＿今日はスタジオなのでラッキーです
　樹が隣で寝ています

＿田中さん(笑)私は外回りです

＿それは大変、足元お気をつけて

＿転ばないように気をつけますね




雨ってだけでこんなにも会話が進むなんて素晴らしい



あの日以来、日に何度かという程度にメッセージのやり取りが続いていた



ちなみにではあるが

あの日の血液型の件は俺の完全な思い込み早とちりで

あっさり血液型も教えてくれたし、なんなら誕生日まで


とはいえAさんが俺らの雑誌を読んだ時点で

情報量がイーブンになることなんてないんだけど

今の俺としては十分すぎる






『お前さっきからなにニヤニヤしてんの』

『えぁ？…てか起きてたのかよ』



トーク画面を眺めていると

隣の椅子に踏ん反り返って寝ていた樹が不意に口を開いたので

慌ててスマホを膝に伏せる




『で？どんな子なわけ』



バチバチに決めた衣装に似合わない

不細工な欠伸をしながら飄々と聞いてくるんだからこいつは侮れない




『ぜってー言わねぇ』

『んだよ過去に俺が邪魔したことがあったかよ』

『それはないけど』

『じゃあいいじゃない。

　てかあの人だろ？あのこの前のタイアップの時の』

『…んで分かんだよ』

『まぁ、俺だから？』

『はぁ？』




お前見てりゃ分かんだろ普通に、とか言い出す

ほーら侮れないって言った

察しが良いとか、周りのことよく見てるとかそんなんじゃなくて

もはや恐怖でしかないだろこんなの




『どっか出かけたりしたん？』

『…いや』

『メッセージやりとりしてるだけなのは中学生なのよ』

『そういう訳じゃねぇよ』

『じゃあ俺が良い店教えてやろっか』




いい歳してウブとかキモいとかなんとか小馬鹿にされながら

樹から店の情報が三軒ほど送られてきた




『別に頼んでないのよ』

『いーから。切り札的なヤツで持っとけよ』

『余計なお世話だわ』




まぁ保存はさせてもらうけど使うまいと強く心に決める




『Aさん』

『っ、あ？』



ボソッと響いた名前に思わず半分立ち上がると

パイプ椅子が大きな音を立てて一斉に周りの視線が集まった



『当たりだろ？』

『いやそうだけどもね、やめなさいよ』

『可愛い人だなぁとは思ってたのよ』

『だぁから、、』



集まった視線を散らすべく平静を装いながら

その名前が樹の口から呟かれたことに腹の奥がどこかもやっとした

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