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しばらく佐野くんとハグしていた。


あんなに荒んでた心は、このギューだけで治まってしまうちっぽけなものなのか、それとも佐野くんが凄いのか。


どっちか分からないけど。
この瞬間は好きだ。




「…ん」


マ「…(可愛い)」


「…」


マ「送ってくから乗れよ」


「…」




小さく頷いた。




マ「よしっ」


「っ!」


マ「行くぞ」


「降ろして!」


マ「だめ」




せっかく安心してたのにお姫様抱っこされて運ばれる。




「…」


マ「ヘルメ被って」


「…」


マ「ん、良い子」


「子供扱いすんなっ」


マ「脳みそだけなっ」


「…」


マ「いった!叩くなよ」


「ふん」




佐野くんがバイクに股がった瞬間叩いてやった。




マ「ふーん…飛ばすかんな」


「えっ」


マ「掴まってろよ」


「っ!!」




嫌がらせの如く急発進され、
思わず佐野くんにしがみついた。




マ「(そーそーこれこれ)」


「早いっ!!」


マ「余裕だろこんくらい!」


「原チャだったくせにー!!!」


マ「俺センスあっからさぁー!」


「きゃあああ!!!!」




他の人と比べ物にならないくらいの
危険運転で私は思わず叫んでしまう。




マ「あっはは!(懐かしいな…やっぱ最高だ)」


「ねえぇぇ!!!早いってばぁあ!!」


マ「ほらもっと飛ばすぞ」


「死ぬっ!!」




必死に佐野くんにしがみつくしかなかった。
酔うとかそんな次元じゃなく、とにかく叫ぶ。




マ「ははっ!!」


「くぅっ」




佐野くん楽しそうなのに凄く腹が立ったけど、
なんでかこれも懐かしさを感じてしまった。



















***

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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年3月26日 3時

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