note 684 ページ35
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「…」
足取りが重かった。
やっぱり私なんかが行っても良いのかなって。
そう思ってしまう。
考えすぎて胃が痛い。
今にも吐きそう。
でも約束したからには行かないと。
そう思いながら待ち合わせしていた駐車場に向かった。
「…」
人がたくさんいて、
正直どこにいるか分からない。
とりあえず佐野くんらしき人を探す。
「…あっ」
駐車場の端っこに携帯を見つめる佐野くんが居た。
良かった来てくれてたんだ。
私は急いで佐野くんの所へ走った。
「佐野くん!」
マ「!」
「はぁ…ごめん、お待たせ」
マ「走って来たの?」
「う、うん…」
マ「そっか、んじゃ行こっ」
「あっ…うん」
なんかやっぱり…いつもと違う。
私は佐野くんの後ろを着いて歩いた。
マ「なんか食いたいもんある?」
「そうだな…やっぱり焼きそばかな」
マ「おっけー」
「…」
受け答えはできるけど、
それ以上先の会話ができない。
私、もしかしてほんとに…。
マ「あー!そういえば」
「?」
マ「ごめん今日1時間しか回れないけど良い?」
「えっ」
マ「ちょっと用事あってさ」
「…」
用事、か。
そうだよね、
邪魔しちゃダメだよね。
「…うん、分かった」
マ「サンキュ。ほら焼きそば食いに行こうぜ」
「うん」
1時間は…
花火も一緒に見れないね。
マ「おー美味そーだな」
「だね」
私、凄く期待しちゃってた。
マ「これ2つ」
『あいよ!お、お二人さんカップル?』
マ「違うよ友達!」
『なんだーお似合いだと思ったのに!』
「あはは…」
『はいよ!焼きそば2つ!』
マ「どーもー」
「ありがとうございます」
私は佐野くんの後に続いて木陰に向かった。
マ「ほい!」
「ありがとう」
マ「いっただっきまーす」
「いただきます」
マ「ん!これ美味い!」
「ふふっ」
マ「あのおっちゃんやるな」
「そーだね」
箸を持つ手が震える。
私は一口も食べれないでいた。
でも、
マ「んまっ」
「…」
隣で彼が幸せそうに食べる姿を見て、
とても満足していた。
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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年3月26日 3時