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「…」
エマちゃんの話、
嘘じゃなかったみたいだ。
今日1回も目を合わせて貰えなかったし、
会話もなかった。
さっきの話が本当なら、
佐野くんには…。
「…」
なんだろうこの気持ち。
初めてだ。
なんだか分かんないけど、
よくないのは分かる。
気分が晴れないまま、
私はお父さんを呼ばず歩いて帰ることにした。
特攻服だと目立つよね。
分かってるけど今は人と話したい気分じゃない。
「…」
『…おい見ろよ、東京卍會だってよ』
『最近黒龍倒したってとこだよな?』
『あいつ1人じゃね?』
『でもかっわいーな』
「…?」
また見られてる。
その方向に視線を送った。
「…」
見られてることにすら苛立ちを覚える。
「こっち見んな」
『!…んだとコラァ』
『調子乗ってんなぁ』
『女のくせに舐めてんじゃねぇぞ』
『その特服脱がせて分からせてやんよ』
「…」
あぁ、イライラする。
なんだろうこの感情は。
『グハッ!!』
『ガッ…テメェ…』
「うるさい」
『ぐあぁっ!!』
『やめろ!!死ぬ!!!』
「うるさい」
『おいもうやめてくれッ!』
『わ、悪かったよ!』
「…で?」
『ひいっ!』
『ごめんなさい!!』
「…」
『許してくれ、もう手ぇ出さねぇから…』
『頼む…』
「…ねぇ」
『ひっ!』
「男が女に求めるものってなに?」
『は、はぁ!?』
「愛?お金?体?顔?」
『そ、れは…』
『やっぱ…顔とか…体…』
「じゃあ可愛くてスタイル良かったら誰でもいいってこと?」
『そ、そりゃそうだろ…』
『可愛い子と、遊びてぇだろ…』
「ふーん…じゃあ」
『アガっ!!』
「今の私を見て合格だって言える?」
『ひ、ひぃっ!』
『殺される!!』
「こんな怖い女でもそう思える?ねぇ」
『ご、ごめんなさい!!』
『ねーちゃんのことは無理だ!!』
「!!」
『お、俺なら優しくて、可愛くて、スタイルいい子選ぶ!』
『お、俺も、!』
『だから勘弁してくれ!手ぇ出さねぇから!!』
「…そっか」
『逃げろー!!』
『わぁアッ!!』
『うあ!!』
『ヒィッ!!』
「…」
そりゃそうだ。
まさかこんなところで気付かされるなんて。
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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年3月26日 3時