𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦338 ページ39
***
「ふぁあ…」
彼に連れられテントの中に入った。
ご飯急いで食べたせいで今結構眠い。
千「おい立ったまま寝んなよ」
「んー…」
彼はテントの中でも出航に向けて準備を進めていた。
私なんてほとんど荷物ないから何も用意するものない。
そんな彼を見ていたらさらに眠気が襲って来て背中にしがみついてしまった。
千「あ？」
「…」
千「！…眠いんなら布団入れ」
「…んーん…」
千「はぁ…ったく」
動けなくなった私に気付いて、彼は私の脇に両手を差し込んで膝の上まで移動させてくれた。
「んん」
千「掴まっとけ」
お言葉に甘えて彼の背中に腕を回して
抱きつきながら寝に入った。
千「よくその体勢で寝れんなテメー」
「…」
好きな人の傍にいるんだもん、
嫌でも安心して眠たくなっちゃう。
それにこうしてると彼の心音が聞こえてきて落ち着く。
千「うーわ…(分かってた事だがやっぱ手元見えにくいなこの体勢)」
「…」
千「(仕方ねぇコイツ寝かしてから作業すっか)」
「…」
そのうちに彼の作業する手が止まり、
物を置く音が聞こえた。
「…？」
千「ちょっと移動すんぞ」
彼にそのまま抱っこされて布団の上にちょこんと降ろされた。
「ンー…なぁんで…」
千「やっぱこっちで寝ろ」
「…」
千空が掴まっていいって言ったから抱き着いてたのに。
「千空も一緒がいい…」
千「ゼッテー言うと思ったわ」
「！」
そう言うと彼も布団の上で横になった。
隣に来いと言うように布団を叩かれる。
それを見て嬉しくなった私はまた彼に抱き着いた。
「んふふ」
千「さっさと寝ろよ」
「うんっ」
彼の胸元から彼の顔を見上げると、
フッと笑って頭を撫でてくれた。
私幸せすぎて禿げそう。
「…」
千「(んで…なんでコイツは毎回寝ろって言うと目パッチリになんだよ！！おかしいだろどういう神経してんだこのバカ！)」
「…」
千「いや見つめ過ぎだろキショいわ」
「だってぇ…好きなんだもん」
千「もっとキショい」
「…」
キショいばっかり言ってくるから
ムカついて彼の手を掴んで噛み付いた。
千「あ"？」
「ふふん…」
千「あーそういや今テメーが噛んでる指さっき幼虫触った指だわー」
「ッ！！？」
思いもよらぬ発言に私は慌てて噛んでいた指を口から離そうとする。が、彼がまたわっるい顔してそのまま押し込んできた。
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Sちゃん | 作成日時：2023年9月3日 21時
