𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦322 ページ23
***
顔を掴まれたと思ったら、
そのまま腰にも空いた手を回される。
「んムッ」
千「テメーに何かあっとこっちが気にすんだっつの」
「え…っ」
千「アホみてぇに笑って騒いでりゃ良いんだよテメーは。俺はその方が安心すんだ」
「…！」
千「いつも言ってんだろ余計な気遣うなって。テメーにゃそういうの1番向いてねぇんだから」
「っ…でも、でも千空のこと…好きだから」
千「だからって頼んでもねぇ事すんな。ましてや今回は俺がやんなって釘刺してた事でもあんだからな」
「千空っ」
千「んな事されても残念ながら1ミリも嬉しくねぇ」
「…ごめんなさい」
千「二度と考えんなよ」
「…はい」
私が返事をすると彼は顔を掴んでいた手を離して、
私の後頭部に手を置きそのまま自分の方に引き寄せた。
血の匂いから大好きな彼の匂いに変わり、
私も彼の背中に手を回した。
千「ほんっとに1人にさせとくと危険だなテメーは…」
「…ごめん」
彼も私の事たくさん心配してくれたのかな。
だからこんなに怒ってくれるのかな。
千「…」
「…」
その気持ちを示すように急に頬を撫でられキスされる。
少し長めな上に何回も角度を変えられる。
求められるようなそのキスが堪らなく嬉しかった。
でもその途中、
キスを遮るように何かが落ちる音がした。
「！」
千「…」
司「…」
ビックリして私は彼の腕の中に隠れた。
彼も私を隠すように抱き締めてくれていた。
千「クク…もう戻って来たのか司。何か用か？」
司「うん。少し気になったからね」
「えっ」
聞き覚えのある声に私は顔を上げた。
「司くん…！」
司「やぁA。まさか久しぶりの再会がこんな場面だとは思わなかったよ」
千「いや覗き見しに来たのテメーだろ」
司「たまたまだよ。それより千空…いつの間に彼女を？」
千「テメーがぶっ倒れてる間にちぃっとな」
司「なるほど」
「…」
2人とも普通に話してるけど
さっきまでキスしてたから恥ずかしいよこっちは！！
千「なんだ司。まさかテメーもA狙ってるとか言わねぇだろうな」
司「あはは残念、そのまさかだったよ」
「へ」
千「出ーたーよそのパターン。言っとくがやんねぇからな」
「なっ！」
彼はそう言うと子供っぽく司くんに向かって
舌をべーっと出していた。
色んな衝撃で私倒れそう。
***
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作者名：Sちゃん | 作成日時：2023年9月3日 21時
