𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦321 ページ22
***
千「喧嘩したヤンキーみてぇだったなさっきの顔」
「ん…」
しばらくして私が落ち着いたのを確認した彼が、
飲み水で顔を洗わせてくれた。
微かに血の味が口に残っていて嫌な感じだったけど、
しっかりうがいして全部吐き出した。
千「ほれ」
「ありがと…」
また新しい布をくれて私は顔を拭いていた。
千「んで？そろそろ聞いてもいいか」
「うん」
千「今度は何言ったんだよ」
「…千空の腕の傷痕、治したいから協力してって言った」
千「！」
「そしたら、そんな無意味だって。もっと千空の考え理解しろって言われて、カッとなった」
千「ふーん。珍しくホワイマン2号もまともな事言うじゃねぇか」
「それは、千空との取引に支障きたしたくない言い訳だよ」
彼と取引してるからって手のひらくるっくる。
私の事あんなに利用しようとしてたくせに。
許せない。
千「つかテメーは俺に石化光線当てようとしてたって事か？」
「あ、いや、そうじゃなくてこの前みたいにちょっとだけ治そうと思ってただけで…」
千「あーアレか。でもアレ使うにしてもテメーのエネルギーっつうの使うんだろ」
「うん、そうだと思う」
千「なら今回はホワイマン2号の考えが大正解だな」
「えっ…？」
千「言ったよな。絶対使うなって」
「！…そう、だけど…」
千「テメーの言い訳こそ要らねぇよ。心配してくれたのはおありがてぇが、第一俺はそんな事頼んでねぇし望んですらねぇよ」
「…」
そうかもしれないけど。
私がそうしたいって思っちゃいけないの？
あなたが大切だから私、こんなに心配になるのに。
千「そりゃホワイマン2号もブチギレるわな。とにかくもうアイツに関わんなよ」
「…分かった」
これも全部無駄なら、
私また彼の時間無駄にしちゃったってことなのかな。
本末転倒、また申し訳なくなる。
千「あ"ー」
「…」
千「んな顔すんなよ」
「…」
千「ったく…」
「わっ！」
俯いていたら彼にいきなり腕を引かれた。
そしていつものように片手で顔を下から掴まれた。
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作者名：Sちゃん | 作成日時：2023年9月3日 21時
