𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦255 ページ6
***
「う…っ」
千「よく見ろニセもんだ」
「ばかぁ…嫌いなのに…」
千「だから言ったろドッキリだって」
「酷い！」
ネズミの正体は潜入に使っていたというモーターだった。
彼は泣きそうな私を見て大成功と言わんばかりのすっっごく悪い顔でニヤニヤ笑っていた。
千「あ"ーおかげで気持ちよく寝れるわ」
「こっちは最悪の気分だよ！夢に出て来たらどうするのさ！責任とる必要があります千空は！今日は私の夢の中でも私と一緒に居てくれないとダメだからね！！」
千「たとえ夢ん中だろうがテメーのハチャメチャ理論に付き合う気はねーよ」
「ンー！！」
ケラケラと笑ってバカにしてくる彼が許せず筋肉質な二の腕を抓ったら「あ"？」って言われて逆に頬っぺた抓られ始めた。
「あぅ」
千「調子乗んな」
「うぅ…」
彼女に対してもこの扱い。
付き合う前と全然変わってないのですが…。
恋愛難しい。
千「つかいい加減服着ろバカ女」
「はぁい…」
てゆーか！！
下着姿とは言え彼女の体見て興奮とかしないんですかあなたは！？本当に人間なのか怪しい！私の方がよっぽど人間して…っ。
「…！」
人間してる。
千「…おい早く着…」
「…」
あぁ…なんで急に来るの。
自分で言った言葉にすら傷付くなんてダサすぎる。
良いの、私はちゃんと人間なんだから。
みんなの仲間なんだから。
「ん！着替えた！」
千「…」
彼も私が脱がせてしまった服を着直してまた仰向けになっていた。
千「ほらこっち来い」
「うん」
不安を隠すように彼の隣で私も仰向けになった。
布団をかけ直して目をぎゅっと瞑る。
「…」
千「…」
ふとした瞬間に怖くなる。
これから正体がバレ始めて私が普通の人じゃないって知ったら彼やみんなはどうするんだろうって。
騙しやがってって嫌いになるのかな。
それも怖いけど、もっと怖いのは…。
「！」
千「あんま考えすぎんなっていっつも言ってんだろ」
「…」
彼の手が伸びて来て私の髪の毛をそっと撫でる。
そうだ…。
1番怖いのは大好きな彼の傍に居られなくなる事だ。
「千空…」
千「なんだ情緒不安定女」
「嫌いになんないでね」
千「なんねぇよ」
「うん」
***
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作者名：Sちゃん | 作成日時：2023年8月20日 10時
