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𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦270 ページ21

***






3人から逃げるように厨房に入った。



「はぁっ」

『お前、何度言わせるです』

「だからごめんって…」

『やる気がないなら…』

「やる気ある!大丈夫!ちゃんとやるから!!」

『!』

「ちゃんと、やるから…もう言わないで…」



涙が溢れて来る。
この状況がとてつもなく嫌だ。
私は信用されてたい、もう虐められたくないから。

でもクロムやみんなの反応を見てると、
過去の記憶がどんどん甦って来てパニックになりそう。



「うっ…ぅ」

『泣くなです』

「…っ」

『無意味な行動をするなです』



私、本当に大丈夫なのかな。



『聞いてるです?』

「はぁっ…」

『応答するです』

「…」

『お前、石化…』

「…聞い、てる」

『なら反応するです』

「ごめん…」



頭がぐちゃぐちゃになりそう。
というかなんで私、みんなの事こんなに守りたいの?



「…」

『次は覚悟するです』



みんなが優しくしてくれたから?
私を仲間だと思ってくれたから?



「…うん」



なんかもう分かんないよ。
だって今でも疑ってる人いるだろうし。
これから先丸く収まるとも思えない。

私どうしたらいいの、どうしたら…。



千「おーい」

「っ!」



厨房のドアの前で蹲っていると扉の向こうからノック音と彼の声が聞こえた。



千「いんのか?」

「…」



私は急いで涙を拭いて深呼吸をした。



「いるよ」

千「おー入んぞ」

「うん」



ドアの前から少し離れると彼が扉を開けて私を見た。



「どうかしたの?」

千「テメーに用があってな」

「私?」

千「あぁ。今夜ラボに来て俺の実験手伝え」

「あ…うん」

千「おし、んじゃな」



そう言うと彼はダルそうにして扉を閉めた。



「…」

『お前、あの人間を見ると一瞬呼吸止まるのなぜです』

「えっ!」

『理解不能』

「…それは、好きだから」

『好きとはなんです』

「えぇと…好きってのは、自分が惹かれる物とか相手に言う言葉。良いなって思ったりとか、一緒にいたいとか…」

『非常に無意味な感情と理解したです』

「…繁殖能力無さそうだもんねあなたたち。それなら分かんないよ」

『繁殖能力?』

「人間は好きな人と結ばれて子供作るんだよ」

『…ならお前、あの人間と仲間を作りたいです?』

「ハァッ!?ち、違うし!私はそう言う目的じゃ…!」

『ふむ。でも良い情報を聞いたです。よくやったです』

「ん!?」








***

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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年8月20日 10時

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