𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦43 ページ44
***
途中で疲れて夜明けを待ってから歩き始めたりしてるうちに私は海側へようやく出てこれた。
「長かったぁ…」
自分の体力を褒めちぎりたい。
そしてみんなどこら辺にいるのかな。
とりあえず海側って聞いたから下流まで来ちゃったけど、
人がいる気配が全くない。
「…！」
みんなを探していると遠くから
爆発音のような音が聞こえた。
「なんだろう…」
上の方から聞こえて来た。
戻ってみた方が良いのかな。
でもせっかく頑張ってここまで来たのに戻るのヤダな。
もしかしたらそのうちみんなと合流出来るんじゃないかと思いながら私は海を眺める事にした。
それに彼私が居なくなったって知ったら絶対探しに来てくれると思うし。なんという自信だろう自分。
「ふふっ」
たまには遊んじゃおうかな。
「No where to turn」
「No where to hide」
「Between a rock and a hard place」
「Someone to find…」
リリアンさんのお気に入りの歌を口ずさみながら、
靴を脱ぎ川の浅瀬で踊る。
「I know that times are tough, just down and out」
実は昔リリアンさんに会った事がある。
「putting my faith in tomorrow」
お父さんの仕事場に番組の一環で見学に来ていた。
休憩時間に一緒に歌を歌ってくれた。
リ『あなた歌上手いのね！？今何歳？』
『12歳ですリリアンさん！』
リ『わっかー！金の卵だねっ』
『金の卵？』
リ『えぇ。あなたの将来が楽しみ』
『リリアンさんにそう言われると嬉しいです！』
リ『えー可愛い〜！私の弟子にでもなりなさいっ！』
『えー！良いんですか！』
リ『もちろん！あなた可愛いしぜーったい人気になれるよ！』
『ふふっ』
父『リリアンさん、そろそろ…って…娘と遊んでくれてたんですね』
リ『えぇ！あなたの娘さんほんっと可愛いわね！』
父『物分りが良くて自慢の娘ですよ』
『！』
リ『そうね』
父『では行きましょうか』
リ『えぇ！またねAちゃん』
『！リリアンさん！』
リ『ん？』
『また…一緒に歌ってください！リリアンさんの歌好きなんです！頑張って覚えて、ちゃんと歌えるようになったら…！』
リ『！…ふふっ、いーよ待ってる！』
『！！』
リ『だから絶対私の歌忘れないでちゃんと覚えてねっ』
『…はい！』
とても素敵な時間だったのを今でも覚えてる。
私、忘れてないよリリアンさん。
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作者名：Sちゃん | 作成日時：2023年5月28日 23時
