𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦4 ページ5
***
司「…」
「それから…って聞いてますか?」
司「あぁ」
君が何者かなんて南からとっくに聞いている。
だから今回の選定者にしたんだ。
柊A。
高校生とは思えない圧倒的な美貌で世間を騒がせ、その上いくつもの多国語を習得、おまけに動物の生態にも詳しい。そして何より君は…。
司「その敬語やめないか?」
「えっ!」
司「同じ高校生だろう」
「あ…じゃあ…」
司「うん。あと司でいいよ」
「司くん」
司「あぁ」
千空の弱点になりうる可能性があると言うこと。
あくまで南の情報だが侮れない。
仮に千空が生きていた場合、彼女を利用してカタをつけるつもりだ。
司「とりあえず君は女性達と同じ仕事をしてくれ。何かあったら君を呼ぶよ」
「うん」
司「最後に聞くが、さっき探していた人はどんな人だい?」
「えっと…髪が緑と白でこうピーンって立ってて、前髪が垂れてる感じ。科学大好きマンで…名前は…」
司「…」
「千空」
ほら、思った通りだ。
司「そうか。ここに似たような者はいないかもな…」
「えっ…」
そう言うと彼女は目に薄ら涙を浮べる。
「どこ行っちゃったんだろう…」
今更殺してしまったとも言えないし、
生きていたとしても殺す事に変わりは無い。
ならば彼女の心が少しでも傷つかないようにしてあげる事が俺にとっての唯一の罪滅ぼしだな。
司「…」
「!」
彼女の目から溢れ出しそうな涙をそっと拭うと驚いた顔で見て来た。
司「ここにいれば安全だ。これからは俺達が君を守るよ」
「…」
司「とにかく今日はゆっくり休んでくれ」
彼女は暗い表情のまま小さく頷いた。
司「休む場所を案内しよう」
「ありがとう…」
司「気にするな」
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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年5月28日 23時