𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦38 ページ39
***
「…っ…」
あ、れ…。
私…今夢を見てたんじゃ。
懐かしい夢だったな。
幸せな夢。
千「おいコラ起きろ」
「イッター!!!」
ゲ「え!ジーマーで起きた!?」
「痛い!誰!せっかく良い夢見てた…の…に…」
千「ふーん。その夢と今どっちが大事なんだよ」
「…」
ここは…。
彼のテント…?
「…あれ、私なんでここに…」
ゲ「Aちゃんね、司ちゃんに気絶させられて全然起きなかったのよ!だから一旦ここまで運んで来て様子見よって事になったんだけど…大丈夫そ?」
「…大丈夫…です」
千「そりゃ俺のデコピンのおかげだなっ」
「ん、痛かった!バカ!」
千「あーうるせー」
「てゆーか戦いは!?」
千「それなら停戦中だ」
「!」
停戦…?
「え、どういう…」
ゲ「司ちゃんの妹を助けるって話でまとまって停戦になったの!ほんっと千空ちゃん達頑張ってたんだよ!」
「…千空、本当なの?」
千「本当だ。嘘なら俺はとっくに死んでんだろ」
「あっ…!」
そういえば司くん、彼の事殺すって…!!
「どこも怪我してない!?」
千「問題ねぇよ」
「っ…千空…」
千「んな事よりちったあ自分の心配でも…!」
「…」
ゲ「えぇぇええ!?」
彼が無事…私の願いが叶ったんだ。
ありがとうございます、本当にありがとうございます。
「…っ」
千「お、まえ…」
ゲ「俺はお邪魔だから出てるねぇあはは…!」
ゲンさんは察したようにすぐさまテントを出て行った。
「…千空」
千「…」
「良かった…良かった良かった…っ」
千「!!」
私は静かに泣きながら彼を抱き締めた。
彼が生きている。今私の目の前に居る。
千「…はぁ。ちったあ自分の心配もしろよ」
「やだ」
千「やだってなんだお前」
「…」
千空の左胸から聞こえてくる心音。
安心する、ちゃんと生きてるんだ千空。
千「おい」
「はいっ」
千「…」
「…!!」
顔を上げると彼の傷だらけの顔が目の前にあった。
そしてお互いの目を見つめあっていた。
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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年5月28日 23時