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𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑦10 ページ11

***






彼に会えないまま数ヶ月が経った。
だんだんここの生活にも慣れてきたけど、毎日のように会っていた彼に会えなくなる寂しさは尋常じゃなかった。

それにここの人達と彼は敵対同士らしい。
今すぐ彼のもとに駆け付けて私に出来ることをしたいと思うけど、逃げたらどんな目に遭うか分からない。



仁「食べないのかい?」

「…今日、食欲無くて」

杠「!」



そのうち私のストレスや不安が溜まり始めて、
食欲が無くなっていった。



仁「食べなきゃ死ぬよ」

「はい…」

杠「…」



杠ちゃんや大樹くんにとても心配される。



大「今日も飯が食えなかったのか…」

杠「可哀想に…」

「…」

大「なら気分転換にAも千空の墓に行こう!」

杠「あ、良いねっ」

「千空のお墓…?」

大「あぁ!俺と杠で作ったんだ!」

杠「せっかくだし明日行こう」

「…行きたい!」



彼に纏わるものならもう何でも良かった。
そう思えるくらいには傷心していたのかも。

大樹くんと杠ちゃんと夜にお墓参りに行く約束をしてから私は寝床の洞窟に戻った。



南「おかえり」

「ただいまです」

南「ねぇねぇ、今からこっそり水浴び行くんだけど来る?」

「!この時間にですか…?」

南「だってベタベタするの嫌じゃん!大丈夫近くだから!」

「…分かりました」

南「うん!行こ行こ!」



戻って来てすぐ南さんに誘われて近くの川まで歩いて来た。



南「はい」

「?」

南「タオル、これ巻きながら入ろ」

「ありがとうございます」



貰ったタオルを体に身に付けて私は南さんと一緒に川へと入った。冷たいけど汚れが落ちるならマシかも。



南「んー!気持ちいい!」

「…」

南「てゆーか!あなたって体つきも良いのね」

「へっ?」

南「ボンキュッキュッの方ね」

「あ、…まぁ…よく言われます」

南「肌も白いし髪も全然痛まないのね」

「…遺伝ですかね」

南「羨ましい〜!」

「あはは。南さんもお綺麗です」

南「それも取り柄の1つだからねぇ!」

「ふふ」



南さんと楽しく話していると近くでガサガサと茂みが揺れ動く音が聞こえた。



「ん…?」

南「入社した時は大変でね〜」



南さんはお喋りで夢中になってて気付いてない。
でもそこに何かいる。



「南さん」

南「ん?」

「少し離れましょう、何か居ます」

南「えっ!」



私と南さんはタオルを巻いたまま川を出た。










***

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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年5月28日 23時

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