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note 602 ページ3

***







「…」




結局眠れなかった。
気づくと朝日が昇っていた。




「はぁ」




私は重い腰を上げて、
佐野くんの確認をしに行った。




マ「…」


「…ふふっ」




良かったぐっすり寝てる。


鼻にかかった邪魔な髪の毛を退かしてあげて、




「おはよう…大好きだよ佐野くん」




そう伝え私は荷物をまとめた。




「またねっ」




これ以上迷惑はかけられない。


朝一で私は佐野家を出た。




「んーーはぁ」




気持ちいい朝なのに、
全然スッキリしないや。


どうしたらいいんだろう。


そんなことを思って歩いていると、
急に後ろから腕を掴まれた。




「へっ?」


マ「はぁ…お前…!!」


「佐野くん!?」


マ「んで勝手に出た!」


「ね、てたんじゃ…」


マ「真一郎がお前の出てくとこ見てたんだよ…」


「あっ…ごめんなさい」


マ「来い馬鹿!」


「えっ…」




怒った佐野くんに手を引かれ、
出てきたはずの佐野家に連れ戻された。




「きゃっ」


マ「…」




寝起きも相まって機嫌悪いのか、
私はベッドに投げ飛ばされた。




「佐野くんごめんね」


マ「うるせぇよ」


「…」




ですよね。
すみません。




マ「なんで勝手に家出た」


「…えっと…早起きしたから…」


マ「なら俺も起こせよ」


「邪魔したくなかった」


マ「はぁ?だからって勝手に帰んの?」


「それは、ごめん」


マ「なに男でもいんのお前」


「いないけど」


マ「んじゃ勝手に帰んなよ」


「うん、ごめんね」


マ「馬鹿」


「うん」




自分が良かれと思ってやったことでも、
相手にしてみれば不快だったのか。


私だめだな。




「…」


マ「で、どーすんの」


「ん…帰るよ」


マ「あっそ」


「うん、ほんとにごめんね」


マ「知らねーよもう」


「!」


マ「勝手にしろ」


「…」




私はこっちを見てくれない佐野くんに
もう1回謝ろうと思って手を伸ばした。




「佐野くん…」


マ「触んな」


「いっ…」




私はなぜか手じゃなくて頬を叩かれた。
佐野くんもハッとした顔でこっちを見た。




「…ごめん」


マ「っ…ごめん」


「…私、帰るね!ごめんほんとに!」


マ「いやAっ…!」


「ごめん、ほんとにごめん…っ」




立ち上がった瞬間涙が止まらなくて、
私は逃げるように部屋を出ようとした。

















***

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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年3月6日 2時

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