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「…」
燃え尽きようとする廃工場を私はただ眺めていた。
痛みも忘れるくらい、ただ。
とてもじゃないが勝った気分ではなかった。
胸を抉られるような不快感。
本当に最悪な男に目を付けられていたと、
そう確信した。
きっとこの先も呪いのように続いて…。
「っ!」
どこからかバイクの排気音が聞こえた。
複数台…いや結構の数。
まさかまだ憐の仲間が?
でもこの状態じゃ…。
「っ…逃げなきゃ」
私は足を引きずりながら近くにあった
大きい岩の後ろに隠れた。
息を殺して、居なくなるのを待とうとした。
けど…。
『なんだこりゃ!?なんで燃えてんだ!?』
『おいここで間違い無いのか!?』
『ここです!!』
バイクが近くに停められ、
たくさん声が聞こえる。
私は耳を塞いだ。
ド「おいまさかっ!!」
マ「っ…」
武「社さーーん!!!!!」
場「A!居たら返事しろ!!」
一「Aーッ!!」
三「おい!中で燃えてる奴いんぞ!!」
千「そんなっ!!」
パ「嘘だって言えよ!!!」
春「はっ…A…!」
稀「逃げてきたヤツ捕まえて聞いたらこの火事は爆弾の影響だそうです」
ス「爆弾!?」
ア「じゃ、じゃああれって…!!」
ド「ふざけんなっ!!お前らもっとよく探せ!!」
マ「…」
ド「おいマイキー!!しっかりしろ!!!」
マ「ケンちん…俺…」
ド「まだ分かんねぇだろ!」
マ「…っ…A!!!どこだよッ!!」
武「ダメだ見つかんねぇ…あそこで倒れてんのも分かんねぇし…!」
岩の後ろに隠れていたら、
出血が多くなって来てようやく痛みを感じ始めた。
「っ…」
もうボロボロだ。
帰りたい。
楽になりたい。
助けて、
「助けて…佐野くん…っ」
小さくそう呟いた。
マ「っ!!」
***
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作者名:Sちゃん | 作成日時:2023年3月19日 16時