note 733 ページ34
***
しばらく経っても返してくれる様子はなかった。
イ「…」
「…」
こっそり取り返そうとすると、
手を噛んでくる。
「いたっ！」
イ「おい」
「…」
どうしたらいいんだろう。
イ「…」
「…」
この人とやり合って勝てるかどうかも分かんないし、
どうやって帰ればいいかも…。
「…」
あぁ、佐野くんに会いたくなって来たな。
こんな時にいつもそう思ってしまう。
イ「…」
「…」
ダメな彼女だ。
イ「…おい」
「…はい」
イ「腹減ってる？」
「少し」
イ「なんか食いたいもんある」
「なんでも」
イ「そっ」
そう言うと起き上がったイザナさん。
どこかに電話かけてるから出前でも頼んでるのかな。
そんなの良いから帰らせて欲しい。
「…」
イ「先風呂入ってこいよ」
「…帰ります」
イ「どうやって？」
「歩いて」
イ「補導されて東京卍會に俺と関わってるのバレたらまずいんじゃねーの」
「…」
イ「ぷっ…」
ご最もだ。
私がもう少し大人だったら。
イ「ちゃんと朝には送ってやるから」
「…ホントですか」
イ「うん」
「…分かりました」
イ「偉い偉い」
私が顔をしかめる度に嬉しそうにする。
厄介な人。
イ「着替え貸してやるから先行けよ」
「…」
背中を押されて脱衣場に連れて行かれる。
「携帯は…」
イ「朝まで返さねぇよ」
「…」
イ「そんじゃ」
ドアを閉められ1人にされる。
「…はぁ」
お母さん達にはバイトに行くとしか伝えてない。
心配するだろうな。
「…」
不安な気持ちで頭がいっぱいになる。
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Sちゃん | 作成日時：2023年3月19日 16時
