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episode369 ページ20

***






だがそう簡単にはいかなかった。


準決勝でも強豪校を倒した木兎くん達。
このまま優勝も目指せると思った決勝。


相手の高校にフルセットで敗北。
あと少しだったのに。


私は涙が止まらなかった。
謝る姿を見せる木葉くんや赤葦くんの悔しそうな顔を見てると涙が止まらない。


でも木兎くんは、とても静かだった。


その表情はずっと忘れられなかった。
ある意味かっこいいとさえ感じた。


感動を与えてくれた2校には大きな拍手が送られ、
春高バレーは幕を閉じたのだった。




成「惜しかったね」


「うん…」


成「そんな辛気臭い顔しない。2位でも充分凄いよ」


「分かってる」


成「てか井上はそれより大事なことあるんじゃないの?」


「!」


成「みんな撤収準備してるから、行っておいでよ」


「っ…うん!」




私は誰よりも早く荷物をまとめて
木兎くんたちの所へ向かった。


観客が多くてどこに誰がいるか分からない。
とりあえず木兎くんに連絡して…




「えっ」




携帯を確認すると、木兎くんから着信が入っていた。
私はすぐにかけ直した。




「もしもし、木兎くん?」


木『今どこ?』


「会場に居たよ」


木『そっか。時間あるから外来て』


「うん」


木『そんじゃ』




淡々とした電話で終わった。
私はすぐに会場の外に出た。


帰るお客さんの中に白いジャージが見えた。
階段を降りて広い道の右側に木兎くんが居た。




「木兎くん!」


木「!」


「っ」




私は走って木兎くんに抱き着いた。
木兎くんも優しく抱き締め返してくれた。




「木兎くん…」


木「今日はかっこ悪ぃとこ見せてごめん!」


「そんなことない!めちゃくちゃかっこよかった!今日だって昨日だって!全部!」


木「あんがと井上ちゃん」


「…うん」


木「んじゃちょっとここだと人多いし、サブアリーナの方行こ」


「うん」




私は木兎くんに手を引かれながら
サブアリーナの前に連れてこられた。


こっちの方は生徒が多く集まっていた。
それほど多くはないけど、他校もいる。




木「よし」


「?」


木「井上ちゃんそこ座って?」


「あ、うん」




私は小さいベンチに座らせられた。
そして木兎くんは私の前に来てしゃがみ込んだ。


私の目をじっと見つめて微笑んだ。









***

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設定タグ:ハイキュー , 梟谷 , Sちゃん   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:Sちゃん | 作成日時:2021年8月8日 23時

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