episode92 ページ43
***
「ん…っ？」
目が覚めると部屋が暗くなっていた。
私は元通りワンピースを着ていた。
ゆっくり体を起こすと、下腹部に違和感を感じた。
赤「！…起きました？」
「…赤葦くん、おはよう」
赤「おはようございます。ゆっくり眠れました？」
「ん…なんか、変な夢見てた」
赤「変な夢？」
「その…映像で見た感じのことを私と赤葦くんがしてたの」
赤「何言ってるんですか。それ夢じゃないですよ」
「え！？」
赤「えじゃないんですけど…」
「わ、私が、あれしたの！？」
赤「はい」
「っ…ごめん赤葦くん」
赤「なんで謝るんですか？」
「私…赤葦くんの赤ちゃんできちゃう…」
赤「…あぁ出来ませんよ」
「だ、だってね！なんか、お腹の下に入ってきたんだもん！」
赤「ちょっと待っててください」
「うん」
私が落ち込んでいると赤葦くんは机から小さな袋を取り出して見せた。
赤「絶対知らないと思いますが聞きます。これ知ってますか？」
「…？」
赤「ですよね。これは避妊用具です」
「避妊用具…あ！妊娠出来なくするってこと？」
赤「そうです。これ付ければほぼ確実に赤ちゃんは出来ません」
「赤葦くん使ったの？」
赤「はい」
「そうなんだぁ…ちょっと安心した」
赤「本当に赤ちゃん欲しくなったらこれ使わなければ良いだけの話です。覚えておいてくださいね」
「うん！教えてくれてありがとう！」
赤「いえいえ」
赤葦くんは机の中に袋を戻し、私の隣に座った。
赤「それより、謝らなきゃいけないのは俺です」
「えっ？」
赤「怖い思いさせてすみません。彼氏でもないのに」
「！…え、と…」
赤「怒っていいですよ。俺完全に欲に溺れてましたから」
「…」
こういう時なんて声をかければいいのかな。
実際夢だと思ってたし、嫌な気持ちとか一切ないし…
「あ、あのね」
赤「はい」
「その…大丈夫だよっ」
赤「え？」
「嫌だなって、思わなかったし…途中から、なんか私も良いなぁって思い始めてたみたいだったから…」
赤「！」
「それに赤葦くんは教えてくれたんだもん！むしろありがとうございます！」
赤「…はぁ。ったく」
「え？」
赤「俺以外にされてもお礼なんて言わないでくださいよ」
***
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作者名：Sちゃん | 作成日時：2021年6月5日 22時
