episode75 ページ26
***
『さぁコーナーを曲がった4番手が5番手へ！2組、4組が1組に迫ります！』
「も、うすぐ…」
手の震えが収まらないまま、
私は1列に並ぼうとした。
木「井上ちゃん！！」
「っ！木兎くん…」
木「どうした？！具合悪いの！？」
「…わ、かんない…」
木「緊張してる？？」
「うん…たぶん」
木「…ちょっと背中貸して！」
「？」
私は木兎くんに背中を見せた。次の瞬間。
バチンっと音が鳴って背中に痛みが走った。
「うわっ！！」
木「ハイしっかりする！！メソメソすんのは終わってからだ！」
「いってて…」
木「俺に勝たなきゃデートだかんな！まぁ俺は絶対勝つけど！」
「…」
木兎くんに入れられたカツのおかげか
手の震えが治まった。
木「それにあっちゃんにもいつまでもブイブイ言われんの嫌だろ！頑張れ！」
「…それは、正直ちょっとムカついてた」
木「な！一緒に頑張ろうぜ！！」
「…うん！ありがと！！」
木「おう！大好きな走りして来いよ！」
「！」
そうだ…。
私は走りたくてここに来たんだ。
また走りたい！勝ちたい！！
鈴「光太郎！！」
木「おう！！」
『1組がアンカーへと繋ぎました！おおっとここで！4組転倒！立ち上がるが最下位になってしまいました！』
生「くぅ…」
友「やべーじゃん…井上っ」
生「井上ちゃん…」
『アンカー最後の1人は井上副会長！』
生「ごめんっ、ごめん！！」
「…謝らないで」
生「え？」
「大丈夫。絶対勝つから」
生「！？」
友「はぁ！？」
生「嘘…なんだあれ！」
赤「えっ…」
「はっはっ…ははっ！！」
『1組が半周回りました！おおっと！？井上副会長！さっきまでスタート地点にいたはずがもう5番手へ！？なんて速さだ！これは異次元！！』
鈴「なにあれ…！！」
生「あの走り、ほんとに文化部かよ！」
木「ちょ、嘘でしょ！？」
仁「ねねー！！！がんばえー！！！！」
母「A！また勝って！！」
「…大丈夫」
あんなに練習して来たんだ。
3年間こっそり体幹も鍛えてた。
私が負けるわけない。
だって私は…
「舐めんなあ！！！」
友「っ…井上…かっこいいよあんたっ…大好きだ！」
『井上副会長！どんどん順位を上げ、1組アンカーの木兎に迫りましたァァ！！』
***
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作者名：Sちゃん | 作成日時：2021年6月5日 22時
