ハマナス【JN】 ページ5
《ハマナス…悲しくそして美しく》
凍えるような寒さの中、冷たくなった君の手を握る。
外は大雪。
僕は暖房もつけずに
ただ1人、君を見つめて、
何秒、何時間という時が過ぎたのだろうか。
分という単位で済まされるくらいなのだろうけど
僕の体感時間は、とっくに日をまたぐ勢いで過ぎていて。
やけに、寂しく
長く感じている。
白い肌がもっと青白くなり、
君の冷めきった手は、ピクリとも動かなくなった。
ふと、いつかのデートのことを思い出す。
『寒いね、』
そう言って君が笑うから。
どうしようもなく愛おしくなって
思わず掴んだ手は、びっくりするほど冷たかった気がする。
『ごめんね、笑 冷え性なんだ笑』
僕の反応を面白がって、僕の大好きな笑顔でぎゅっと手に力を入れる君。
その言葉に釣られて、
白い息が、小さな口からここぞとばかりに溢れ出てくる。
良く、テレビで見かけるような。
いや、それよりもっと美しくて
綺麗で、魅力的で。
ドラマのワンシーンのようだった。
こんな、どうしようもないことを思い出して何かが変わる訳でもないのに。
白い息どころか、ただの息さえ吐かない君を見つめて、期待する。
それでも、
罪悪感とともに、諦めを感じる自分がいて。
焦りがおしよせてきても、歓びがそれを覆って。
自分の惨めさを感じつつ、Aに見とれてしまっている僕は
もう、どうにもならないくらいにAが好きで
愛おしくて、堪らないんだと思う。
綺麗な顔の、綺麗な肌の延長線。
赤黒く手跡のついた細い首へと手を添える。
ああ、
僕のおぞましいこの手が
君の息を引き取った
綺麗な首の手跡に、ピッタリと重なるだけで
どうしてこんなにも喜ばしいのだろうか。
不思議に感じながらも、
Aを愛していたから。
いや、愛しているから。
なんて理由で、納得している自分がいた。
続く
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菜々(プロフ) - 架魅那さん» ああああああありがとうございます！！作者も狂愛大好きなんです！(なんの報告)これからもよろしくお願いします!!! (2018年7月29日 23時) (
レス) id: b2058b531d (このIDを非表示/違反報告)
架魅那(プロフ) - 更新おつかれ様です！もう一つのグク小説みたいなのも好きですが、狂愛も大好物です……他のメンバーも楽しみにしています！ (2018年7月29日 18時) (レス) id: 8d414a4488 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々 | 作成日時：2018年7月29日 0時
