出逢い(2) ページ3
Hidaka side.
少クラの収録が始まった。
今日はステージを降りてお客さんの近くに行って歌う演出があるからすごく楽しみ。
俺のうちわを持ってる人をいつも以上にじっくり見よう。
那須のお姉ちゃんが居るから。
もしかしたら見つけられるかもしれないから。
俺の事好きって言ってたし、目が合ったらファンサしよう。喜んでくれるかな。
俺たちの出番が来て、よし、見つけるぞ!
とワクワクしていた時、一人の女の子と目が合った。
目が合うと何故か逸らせなくて、なんて言うか、
吸い込まれる感覚だった。
その子は顔立ちがはっきりしていて整っていて、でもすごく可愛くて、なんて言うか、ビビッとくるものがあった。
これを俗に言う一目惚れと言うものなのか。
この歳でこういう仕事をしているから、恋愛経験なんてものはほとんどないに等しい。
だから、この気持ちがなんなのかまだ知る由もなかった。
でもその子は那須のうちわを持っていて、ペンライトも青の様な水色の様な色だった。
ああ、この子は那須が好きなのか、俺じゃないんだ。
少し残念だなと思ったが、キラキラした瞳で俺の事を見て、全力で手を降ってくれたし、そして何より可愛いから、俺のことを好きになって貰いたいという思いを込めてその子に向かって投げキスをした。
我ながら下心丸出しだなと思った。
するとその子はふにゃふにゃした笑顔でとっても喜んでくれていた。
何だろう、この胸が締め付けられる感じ。
後で那須に聞いてみよう、そう思っていた矢先、那須が俺の隣に来た。
那須が俺の頭をグシャグシャにしてきて、那須のことが好きなその子を指さしてハイタッチをしていた。
ああ、良かったね、大好きな那須にファンサしてもらえて。とちょっと失恋した気分になってその子を見た。
あれ?何だか隣のお母さんらしき人と目を合わせてとても楽しそうに笑っている。そして那須に向かってガッツポーズをしていた。
普通「キャー!!!」とかなるんじゃないの?
那須のファンというか、友達みたいな感じだった。
不思議な子だな、と思い隣を見ると
何だか照れ臭そうにしている那須がいた。
那須「何見てんだよ!笑」
那須は照れ隠しをするように俺の頭をまたくしゃくしゃにした。周りのお客さんからは黄色い歓声が響いていた。
「おい、ふざけんなよっ!」
俺も那須の綺麗にセットされた髪の毛をグシャグシャにしてやった。
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作者名:ちなもん | 作成日時:2019年3月4日 1時