浜田中の秀才くん【探偵チームkz】 (ページ32)

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31 彩side ページ32

『夜になったら、ハンドル握る人に運転を気を付ける様に言っといてね』

高宮さんは尾錠(バックル)を締め片手の親指を立てた

「満月ライダー伝説だね。分かった。気を付けるように言うよ。Aちゃん、心配してくれてありがとね」

『……トップアイドルだから、怪我負われたら困るだけ』

「今回はそういう事にしておいてあげる。じゃ」

出入口から入ってくる一般利用者の間を縫ってさり気なく出ていく

……柊さん……もしかしなくとも、ツンデレ？

高宮さんの後ろ姿を見送りながらそんな事を考えていると若武が言った

「柊、満月ライダーってなんだ？」

ん、私も聞きたい

『………小塚………説明……宜しく』

あ、柊さん、顔赤くなってる

なんか少ししか一緒に居ないけどいろんな柊さんを見てる気がする

「満月の夜ってバイクの死亡事故が多いんだ」

え、そうなの！？

「月が地球に近付いて大きく見えるスーパームーンの時なんかは普通の満月の夜の1.25倍も死亡事故が起きてる」

ひえっ！

「分かった！」

若武はそう言いながらパチンと指を鳴らした

「バイクライダーは全員狼男の素質を持ってるんだ！で、満月の光を浴びて走ってると変身し始めて、」

上杉君がパシンと若武の頭を叩く

「んな筈あるか」

黒木君が笑いながらその艶やかな目を小塚君に向け説明を求めた

「原因はね走りながら満月にうっとりして不注意になったりスピードを出しすぎたりするから、らしいよ」

そうなんだ

「バイクで走ってると自分とバイクが一体化しか感じになって1匹の獣になったみたいな感覚に囚われるんだって」

あ、それは分かる気がする

私も自転車を飛ばしてる時自分が人間じゃないものになった気がするもん

「そういう野性的な部分と満月の怪しい美しさの相乗効果で、つい集中力が途切れたりアクセルを全開にしがちになるんじゃないのかな」

若武が叩かれた頭を忌々しそうに撫でながら呟く

「やっぱ狼男男じゃん」

で、またも上杉君にぶたれた

「違いが分からんのか、この唐変木っ！」

睨み合う2人をまるで空気の様に無視して柊さんが突き当たりのカウンターの脇に掲示されている館内図を指した

『そこに館内図出てる………役割分担するぞ』

そうだね、さっさと済ませよう！

壁に掲示されていた図書館内部図によるとこの建物は3階建て

ほぼ真四角で中央部には1階から3階までを貫く吹き抜けがある