3 彩side ページ4
だから同じ学年の女子についてはとても詳しいんだ。
「しっかしアイツって空気みたいだよな。まるっきり気配がない。」
確かに、大人しくて目立たない人だった。
「居ても居なくても殆ど変わんないじゃん。存在感ナシって言うかさ」
そりゃ存在感アリすぎのマリンに比べれば、誰だって薄いから。
「あ、お前、なんだその目！！」
マリンは私の頭を小突き、立ち上がった。
「さて、飯も食ったし、教室戻るか。
お前、部活だろ？行けよ。」
お弁当箱の入った袋を持ち上げ、教室に帰っていこうとして振り返る
「悠飛とAとの騒ぎ、収まって良かったな。」
悠飛というのは学年2のモテ男、片山悠飛の事。
すっごく綺麗な顔をしてて、最初会った時には私、見惚れてしまった。
清潔そうで凛々しくて、でも悪戯っ子みたいにヤンチャな感じで私の好みだったんだ。
その時は少し言葉を交わしただけで通りすぎたんだけど後になって色々分かった。
野球部のエースだとか文芸部の特別顧問を務めている、とか。
あ、元不良って言われててちょっとワイルドでもある。
そこが上級生女子までキャーキャー言わせる理由らしい。
そんな悠飛と私は前に付き合ってるんじゃないかって噂になったんだ。
私はすごく焦って、それ以降は悠飛を避けるようにしていた。
で、人の噂も七十五日の諺通り、いつの間にか沈静化していったんだ。
そしてAというのは、私達と同じクラスの柊Aクンの事。
柊クンは学年1のモテ男で文武両道。
沢山の部活からスカウトが来てるんだって。
そのせいか、悠飛とも其なりに仲が良い。
正直、私は悠飛も好みなんだけど柊クンの方が好みだったりする…
柊クンは所謂カッコカワイイというヤツで
男子生徒も女子生徒も虜にしている。
そんな柊クンとも悠飛と同じ時期に私と付き合ってるんじゃないかって噂になったんだ。
私は2人と付き合ってるんじゃないかという噂によるバッシング
そして二股という完璧濡れ衣を着せられた
少し喋っただけなのに何でなんだろう…
「もっとも悠飛とAとなら、私、噂になってみたい気がする。」
え、そんなに楽しいもんじゃないよ
すごぉく大変だったんだから、呪い事件も起こったしさ
「だってアイツら超カッコいいじゃん。しかもAは可愛いし。アイツらが側に来ただけで私、もうゾクゾクする。」
え………そう？
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作者名：驪乃 | 作成日時：2021年6月3日 21時
