浜田中の秀才くん【探偵チームkz】 (ページ29)

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28 彩side ページ29

その土曜日、私はかなり早く家を出て恋する図書館に向かった

北野町は駅より北の一帯を指す地名で図書館はその最も北部の丘の上にある

すぐ近くに大きな鉄塔も立っていて如何にも郊外って感じだった

「あぁ、アーヤ、おはよう！」

門の前に小塚君が待っていて私を見て微笑んだ

「まだ誰も来てないよ。kzメンバーも一般利用者もね」

そう言ってる間に若武と上杉君がまるで競走でもするかの様に並んで自転車を走らせて来て上杉君が僅かに早くブレーキ音をあげ私達の前に停まった

脚を回して飛び降り、スタンドを下ろす

若武はそのまま突っ込んできて塀にぶつかる寸前で飛び降りた

自転車は壁にぶつかり横倒し

それでも全く気にする様子もなく私達の方へ歩いてきた

「よっ、おはよ」

考えてみればこれまでも若武は自転車のスタンドを下ろさず何処かに突っ込んで横倒しにする事が多かった気がする、せっかちだなぁ

「ちゃんと駐輪場に停めろよ……」

嫌な顔をした上杉君に怒られ若武は仕方なさそうに自転車を起こし片付け始める

その間に黒木君と翼がやってきた

いつまで経っても柊さんが来ない…

「黒木、柊からなんか連絡来てる？」

若武にそう聞かれた黒木君は首を横に振った

「いや、来てない」

「アイツは何をしてるんだ！？」

「A……大丈夫かな……」

若武は怒り、翼は心配

そんな時に私達の前に1台の車が停まった

「え、何この車」

上杉君が驚いたように車を見つめる

その車から出て来たのは、なんと眼帯をして頭に包帯を巻いている柊さんだった

何、その怪我は！？

全「はぁ！？」

『あ、皆おはよ』

いやいやいやいや「あ、皆おはよ」じゃないでしょ！？

何その怪我は！？どうしたの！？

「A！？その怪我どうしたの！？」

『んー………喧嘩した…？ま、良いや。気にしないで進めてよ』

気にしちゃうのだけど……

「…分かった。丁度開館時間だ。行くぞ」

若武を先頭にして私達は出入口の自動ドアに向かう

その時、そこからスラッとしてスタイルの良い男の人が出て来た

あれ、もう出てくるなんて図書館の人なのかな

そう思ったけれどオートバイのヘルメットを被りながら歩いて来たし、それがフルネットだったものだから顔が全然見えず私はそのまますれ違った

足を最初に止めたのは柊さんだった

『……貴方、もしかして高にぃ？』

誰！？

続く様に翼も足を止めた

「あの、高宮さんですよね？」