10 彩side ページ11
考え方もしっかりしているし、人生に対しても前向きでホントにすごい子だなぁってその時思った。
「時間だけは過ぎていくのに、ちっとも自分の進歩を感じられなくてイライラする。」
繊細な感じの眉根を寄せその顔はそりゃあもう切なげで美しかった。
でも見惚れてる場合じゃないと思って自重したんだ。
友達なんだからここはなんとか良いアドバイスをしないと…！
「出口の無いトンネルに入ってる感じだよ、くっそ」
私は一生懸命に考え、自分なりの結論を口にした
「翼は歴史に詳しいよね。多分好きだからだと思うけど」
翼が頷くのを確認し、ほっとしながら先を続ける
「そういう好きな分野にもっと突っ込んでいってみたら？そこから何か引き出せるかもしれない。kz会議もそこからの話題で良いと思うし」
翼はふっと微笑んだ。
「それならいくつもある。ありがと。」
その微笑みは完璧に美しくて私は今度こそ手放しで見惚れてしまった、うっとり！
「じゃ、着替えてくるから。」
そう言って翼は部室の方に駆けていった。
私は翼が上手く出口を見つけられると良いなと思いながらはっとした
自分にも皆に報告できるような近況がまるで無い事に気が付いたんだ。
毎日、学校と秀明、授業と部活と塾を行き来しているだけで塾でもサッカーチームに入って活躍している翼よりやっていることがずっと少ない。
大変だっ急いで考えないとっ！！
私は必死に考えて翼が言ってた四字熟語のアイディアを採用する事にした。
例えば一を使った四字熟語だと、一生懸命とか一触即発とか一騎当千。
二だと二人三脚、二転三転、無二無三。
三だと朝三暮四。
一番多いのは百で、百戦錬磨とか百花繚乱、百人百様とか百発百中に百鬼夜行…
おぉ…これ結構いけそうっ！これにしよっと
それでkz会議が始まる時間まで数字の入っている四字熟語を思い付く限り並べて書き出していたんだ。
切りの良い五十や、千や万も結構あった。
で、時間になるとカフェテリアに駆け上がっていったんだ。
ドアを空けるといつもの様に隅の方の目立たないテーブルに皆が顔を揃えていた。
でも忍だけが居ない。
「お、アーヤが来た」
私は近寄っていき空いている椅子に座った
「忍は？」
私の隣に居た小塚くんが答えようとし、口を開きかける
途端若武が、ドンッとテーブルを叩いた。
「黙れ小塚。それはリーダーの俺が発表する」
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作者名：驪乃 | 作成日時：2021年6月3日 21時
