1 彩side ページ2
「おい、立花」
その日のお昼時間
私は学校の芝生の中にあるベンチでお弁当を食べていた。
私の学校は中高一貫の私立で給食じゃないんだ。
毎日持っていかなくちゃいけないし
ママとの約束でお弁当箱は自分で洗う事になっている…から、ちょっと面倒。
給食にとっても憧れている。
でも、うちの学校が給食になる事は先ず無いと思うんだ、諦めるしかなさそう
私の隣で一緒に食べているのは佐田真理子。
以前はあまり上手くいってなかった私達が親しくなったのは…
えっと…菠薐草のせい…かな
「最近新しくできた私立図書館の噂、聞いたか？」
佐田真理子とは最近、よく話す。
マリンって呼んでくれって言われたからそう呼んでいるけど…
あの…似合ってない気がする…
初めの時、そう言ったら怒られた。
本人が気に入ってんだから良いんだよ、って。
で、私もそう思うことにしたんだ。
「ほら先々月、北野町の丘の上に出来たばっかのやつだよ」
そういえば…ママが話してた気がする。
豪華な私立図書館が出来たって。
「超、金かかってるって話だ。本も多いらしい」
わっ…良いな！
私…本当は図書館で借りた本じゃなくって買って読みたい派。
自分だけの新しい本が好きなんだ。
初めてページを開くときのパリッって感じや
微かな音が堪らない。
それが本からのメッセージに思えるから。
でも基本的に本好きだからそれがいっぱいあるって話を聞くと心を惹かれてしまう。
行ってみたいなぁ
「図書室の他にも、視聴覚室やAI室、学習支援室、受験室なんかがあるらしい。イベントも充実していて都内の有名大学や、その付属の中高一貫校の図書館研究会のメンバーが勉強を押江に来たり、進路の相談に乗ってくれたりするんだって。」
すごく力を込めて話すので
私は思わずマリンがそんなに熱心になっているのは何故なのか、という事の方にとても興味をもった
もしかして私と同じで蔵書の多さに惹かれてる、とか？
いや、無いな
本が好きだって話、今まで聞いたことがないもの
じゃ、なんで…？
「そんでさ」
そう言ってマリンは一瞬辺りの様子を伺い、声を潜めた。
「噂じゃ『恋する図書館』って呼ばれてるらしい。」
へぇ…どうしてだろう…
「庭があってさ、その中央に燕のモニュメントが建ってるんだ。」
そういえば今の北野町の辺りは昔燕町っていう地名だったって小学校の時に習った事がある。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：驪乃 | 作成日時：2021年6月3日 21時
