造花は無垢に嗤う (ページ9)

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暫くの沈黙。当たり前だ。
私が知っていて、彼が知らないなんてわけがない。
誤魔化すのか聞流すのか、あるいはその他か
まさかこんなにも自然とあの人の名前が出てくるとは予想もしていなかったために脳が焦る。

｢…そうなんだ｣
｢転校生あいつだったんだってね｣
｢、へえ｣

興味無さすぎだろと笑いながら続ける湧は、きっと何も知らない。知らないままでいい。
仮にも幼なじみなんだから、って、そう言うけれど。

｢それは昔の話｣
｢そんなこというなって。あいつお前のことだいすきなんだからさー｣
｢それも昔の話｣

｢小学生とかその辺の話だよ、本気にしないでよ｣

黙る。笑って誤魔化すこともなく
逆上することもなく、ただその口元をまっすぐに結んだ彼は目を伏せた。
ぴしゃりと亀裂が入ったように固くなった空気。
逃げ出すように音を立てて椅子から腰を上げた湧はごちそーさんと呟いて食器を片し始める。

何も、言えなかった。

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ずくりと疼く、くびのふとい血管のところ。
もしもあれが"遊び"であるとするならば

そうだとすれば

｢じゃ、また明日な｣

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私はどうすれば良かったの？