造花は無垢に嗤う (ページ8)

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｢へえあいつ相変わらずだな｣
｢ほんとぼけっとしてんの｣

平塚の話題を出すと湧は楽しそうに笑う。
1年の時｢も｣ときと｢ひ｣らつかで席が前後になり意気投合したらしい2人は今でも異様に仲がいい。

初めての会話が俺のクラスま行の人少なくね？それな！だったなー、とか、そんなくだらないことをしみじみというもんだからその時は思わず笑ってしまった。

｢でもいいやつっしょ？｣
｢まあね気が楽｣
｢わかるー何でもアリよな｣
｢それは無い｣

冷蔵庫から取り出したケチャップを手渡すと嬉しそうに椅子を引いた湧がいただきまーすと手を合わせる。
あの後お土産を届けにきた湧は玄関口で盛大にお腹を鳴らして、今日母さん居ないんだよね、と困ったように笑った。
話によると大学生のお兄さんの面談があるらしく県外に行ってしまったらしい。

彼女がいるのに幼なじみとはいえ女一人しかいない家に上がってしまうのは如何なものかと思わなくもないが、そういった所でお前はそーいうんじゃないだの、そーいう対象にならねーだの言われることは目に見えているし、その言葉で傷つくのは紛れもない私であるから何も言わないでおいた。
もう知らない。

がつがつとオムライスを食べ始めた湧の正面に腰かけて、その食いっぷりを眺める。
この時間が続けばいいのになあ、だなんて言葉にしなければ、心の底で思うくらいなら許されるだろうか。

｢そいえばさ｣

｢そうたにあった｣

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