Je t'aime〜愛しの彼との短編集 (ページ9)

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「、、え？」
てっきりあっそ笑と呆れられて捨てられると思ったのに、
樹くんは、え？と鳩が豆鉄砲を食ったように止まってしまった。

『ほら、きっと私に気を遣って他の子のところ行ってないんだと思うんだけど、こんな捨て駒雑に扱ってもらっていいからさ、』
寧ろこんなに尽くしてもらってごめんね、本当に嬉しかった。と付け足す。それなのに唖然として樹くんはぽかんとしていて。え、待って私言い方そんなにやばかった、？

〜jr side〜

正直言ってオレはモテる。いやこれガチね？自惚れとかじゃなくて。常に隣には女のコがいたし、まぁ大人の階段も3段飛ばしくらいで上がっていった自覚もある。だから別に、好きとかよくわかんなかった。つかマジでそんなの知らなかった。だって取り巻く女のコ達の中から気分でその時のタイプを選べば良かったし。

それでもたまにはほら、オレの周りにいるような派手な子じゃなくて、ちょっと地味なコとワンナイしたくなることってあるじゃん？え？無い？でもまぁオレはそん時そンなキブンだったの。だから、前々から視界の隅にいた、なんだっけ、AAチャン？とにかくなんか良さげな子に話しかけた。

「さっきの後半何言ってたか聞こえた？笑」
大体ここで女のコの方から話を広げてくれるから。その流れで飲み屋行って、テキトーな甘い言葉言って、んでもってホテル行けば今日も無事にオレの完全勝利。ガチ人生ってイージーモードじゃね？

なのに

「いや、全然分からなかった笑」

と、笑って一蹴された。

いやいやいやそれは無いだろ！だってほら、オレが話しかけたじゃん。普通嬉しくなって、ちょっとでも長くオレと話せるように、一緒にいる時間を伸ばせるだけ伸ばそうとするでしょ！？

大きく結果が予想に反してしまって、結局その日はなんか萎えて家に帰った。ピロン♪ピロン♪と絶え間なく、いろんな女のコから今晩の誘いを受ける。でも、今そんな気分じゃ無いし。つかうるせぇなコイツら。

ほぼ無意識的に、LINEのトークの上から10人をブロ削して寝た。

翌朝、起きると鬼のような着歴の数。うげっ、と思って無視した。顔洗って、歯磨いて、服着て、鞄持って。その間、ずっと、ずーっと昨日の敗因を考えてた。

でも考えても考えても、どうしてかAちゃんが昨日振り返ってた時の顔と、声と、ふわっと微笑んだ瞬間しか出てこない。

でも、家出て鍵閉めた時に、気づいたの

あぁ、オレAちゃんに惚れちゃったんだ、って