Je t'aime〜愛しの彼との短編集 (ページ3)

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#3 ページ3

「んー、あと何かあったっけ？」
「なんだよ北斗ぉ〜真面目アピールかよ〜！！笑」
「違うわ笑」

でも本当にそういうことは無さそうである。
忘れ物とかはほぼ無かったと思う。それでも家が隣だった頃は教科書借りに来たりしたっけ。

でもまぁそれらはちゃんと全部返された為、私は当然ながら該当しない。

「あぁそういえば、一個借りパクしてます」
「おっ！なんですか？」
「やっぱこけし？」
「違うっての笑」
「うーん、なんというか、モノじゃないんですよね」

全視聴者が疑問に思ったことを代弁するかの如く、森本くんが

「なにそれー？」

ありがとう！！勝手に感謝する。
そこから彼はぽつりぽつりと話し始めた。

「気持ち？っていうか行動？なんですけど、」
「高3の夏、俺一回メンタルズタボロになって、もうどうしようもなくなったことがありまして」
「本当に何もかもがどうでも良くなっちゃって」

心臓がドクンと大きな音を立てる。

「大学のことも芸能活動のことも。考えることが多すぎて、もう全部投げ出そうって思い始めて」
「ある日ついになけなしのプライドがぷつんと切れて」
「今日、全て終わってやろうって思ったんです」

どんどん鼓動が速くなっていく。
いけない、期待をしてはいけない。
期待することなんてなんもないじゃないか。

「そしたらLINEがピコンって入って」
「今から家行くって」

「えぇ！？今！？ってなったんですけど、」
「まぁなんでも良いかー、って。」
「その時軽く狂ってたんでね笑」
「分かったって返信したんです」

待って待って、待ってよ。
私のことは忘れたんでしょう？
私のことなんて忘れて良いんだよ。

「それが相手が幼馴染なんで家隣で笑、すぐ来ちゃって！笑」

あぁ嘘だ。こんなことある？

この相手が自分じゃないとは、
もう否定できなくなってしまった。

あの日、違う高校に進んだあなたと久しぶりにすれ違って、

いつも通り挨拶しても何も返事がなくて。

ばって焦って振り返ったら、目は真っ赤で、光が灯っていなくって。拳を爪が食い込んで血が滲むくらい握りしめていたから。

これは本当にまずいって思って、すぐに連絡して。

LINE上は至って普通だった。

でも私の頭の中はサイレンが鳴り響いていた。

私は彼が食事にも気を遣っているのを知っていた。

けど人命が優先だから。

家にあるだけの甘味炭酸飲料とスナック菓子、それからずっと2人でやってたゲームを持って彼の家に行った。