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お風呂から出てそのままベッドに直行した。
涼 介は僕の事をお姫様抱っこしてくれて、なんだか恥ずかしかった。
もちろん目はもう見えてない。
正直目が見えないのは大変だけど、朝起きた時に涼 介が隣にいてくれるとすごく安心する。
「知 念…」
熱を帯びたその声で僕の名前を呼んだ。
どこかむず痒くて、僕自身もそろそろ壊れそう。
「侑 李…ゆーりってよんで？」
僕の事をゆーりって呼んでくれるのは家族と涼 介しかいない。
しかもいつもは知 念呼びだから。
「んっ…あ」
お互いがなんの合図を示さなくても、自然とタイミングはわかる。
キスをしている間に涼 介が僕の服を脱がせて来る。
「りょーすけ、待って…。電気消してくれた？」
「消したよ」
「うそ、消してないでしょ」
明るいか暗いかっていうのは自分でもよくわかるけど、なんていうの？
一般的に言われる、黄色い電気？
ちゃんと消してくれない時がある。
「ね、侑 李。全部見たいから多少の明るさはいいでしょう？」
「いやだ、僕が許すのは月の光だけ」
「じゃあ、カーテン開けるね」
シャッ
とカーテンを開けた音がする。
「うわ、今夜は月が綺麗だね」
「ずっと月は綺麗だよ」
昔国語で習ったことがある。
夏目漱石が言った言葉。
涼 介には伝わったかな？
何気なく言ったのかもしれないけど、僕はちゃんと返したよ。
“ずっと前から僕も好き”
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作者名：梨香 | 作成日時：2017年12月10日 23時
