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僕の目は日に日に悪くなっていって、目を凝らさないと見えないぐらいになっていた。
普通の人なら片目だけ…
って言う人の割合の方が多いんだけど、僕の場合は両目ともだった。
もう右目はほぼ見えないに等しい。
左目がかろうじて見えるぐらい。
やっぱりここまでくると、もう悔しさとかなくてもう生きる気力すら湧かなかった。
・
あれから仕事は減って、芸能界からはだんだん知 念ゆうりと言う人間は消えつつある。
今日は、涼 介に伝えに行こうと思ってる。
完全に見えなくなる前に、
最後に涼 介の顔を見たい。
涼 介と別れを告げたらしばらくは実家に帰るつもりでいる。
1人でやれることも少なくなってきたし、親には迷惑かけちゃうけど話す相手がいた方が精神的にも落ち着く。
涼 介には悪いけどきてもらうことにした。
久しぶりに連絡を取ったから相手も戸惑っているはず…。
「本当にこれで終わりなんだなぁ…」
誰もいない部屋で一人呟く。
「終わりじゃないよ」
そう言ってくれる相手すら僕にはいない。
自然と悲しい気持ちはなかった。
いや、強がりな僕は思っていても誤魔化していたんだと思う。
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作者名:梨香 | 作成日時:2017年12月10日 23時