【REBORN!】最恐なお姉ちゃん。-7- (ページ29)

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218話ページ29

一樹side

｢ねえいつきぃ〜｣

｢…あ？｣

｢え、なんでそんなに怒こってるの？｣

チョー怖いんですけど。真顔でそう言う藍に言ってやりたい。お前の方が怖いってな

会長がこの廃墟に入ってから数分が経った。俺達は廃墟の出入口前に立って見張りをしている。見張りといっても、誰もここには近付かないだろうから立っとくだけ

並盛でこの場所を知る人なんて長くこの街に住んでる人じゃ分からないような場所だ。

｢で、なんだよ｣

｢んー…A様遅いなあって｣

｢これぐらい我慢しろよ｣

｢だって遅いもんは遅いんだってば！｣

｢子供かコラ。あ、餓鬼だったな｣

｢おいぶっ殺すぞゴラァッ｣

すぐにキレだす藍にしっしっと手を振る。ここで喧嘩なんてしてしまったら会長に殺されるだけだ。そんなの死んでもやんねえ

"ココ"は会長にとっての"過去"であり、何かのきっかけを作った場所。その何か、は知らないがきっとあの人の思い出になる場所なのだ。

俺達が喧嘩でもして潰してしまったらそれこそここで俺達の命は一瞬にしてグチョ、だわ

冗談じゃないからなこれは。

…まあ、あの人に殺されるなら俺は喜んで死ぬだろうけど。

今は関係ない

｢一樹、藍｣

｢…会長｣

｢A様ぁ！｣

会長に飛び使うとする藍お抑えながら、用事は済ませたのかと聞く。応えなんて、決まってるが

｢もちろん、終わったよ｣

いつものように表情は壊さず、俺達の横を通り過ぎる。

藍が俺の腕から抜け出して｢A様〜！｣と走ってついて行った。俺も行こうとした。けど、

｢…A様｣

彼女が廃墟に残してきた花の意味と、あの表情

足はその場に止まり、ただただ動こうとはしなかった。

振り向かないあの人の後ろ姿はとても、

｢何してるのいつきぃー！はやくぅー！｣

｢…分かってるよ！｣

一度廃墟見て、藍の元まで走る。

振り向いてはいけない。それは、あの人の意志だ

一年に一度の、今日この日だけのケジメなんだ

キンセンカの花言葉は、｢別れの悲しみ｣

ジニアの花言葉は、｢不在の友を思う｣

あの人は過去に、

物凄く大事な"人"を失くした

毎年この場所に、この日に来る時のA様は

とても小さな、泣いている"子供"に見えたんだ＿

(雪が降る冬の季節は)

(何よりも)

(あの人があの人でなくなる日に思えた)