ドライな恋

1-12 ページ12

A「理くん！またパン買いに来たの？」



井口「ううん、ちょっと近くで用事あって一緒に帰れるかなって思って寄ってみた」


A「えっ、待っててくれたの？遅くなってごめんね、っ」


井口「全然全然！今来たところ」


A「よかった、帰ろっか」



今日はついてる
理くんがたまたまお店の近くで用事があったなんて、しかも一緒に帰れることになって迎えに来てくれた。
髪を整えながら赤くなった顔を隠した



井口「なんか、最近垢抜けた？気がするな」


A「垢抜けた？私が？」



井口「うんっ、大人っぽくなった。っていうのかな」


A「ほんと？嬉しいな、」


井口「綺麗になった」


A「そんな気使わなくてもいいよ笑 ありがとう理くん。十分だよ」


井口「いや、ほんとに思ってるから！笑」


A「はいはいありがとー笑」


井口「ねえー笑」





女の子を褒めるのが上手なんだろうな理くんは。
こんなこと言われたら誰でも嬉しいよね






帰り道は、新しいパンの情報を教えてあげたり
学祭の話をしたり。理くんは私の目を見て頷いて話を聞いてくれて、こんな優しい男の子いないなぁ…と思う


井口「じゃ、またね」


A「うんっ、またね〜」



玄関先で またね と言うことが密かに嬉しい
次がまたあるんだ、と勝手に言い聞かせてるがそういう事だよね。と嬉しくなる



＿＿＿＿＿＿＿






ﾋﾟﾋﾟｯﾋﾟﾋﾟｯ……


7:00


アラームが耳元で鳴り響きいやいや起きる
外は平日だけど静かで空は澄んでいた
食パンを1枚トースターに放り込んで自分は支度



A「あーー…行きたくない」



焦げてしまって固くなったパンを頬張りコーヒーを流し込んだ 昨日剥いたリンゴをかじって朝食は終わり


化粧はナチュラルと言っても細かく気になってしまうし
前職の癖なのか今でもいちいちこだわってしまう
だけどスッピンよりもだいぶ可愛くなる自分を見ているだけで満足してしまうなんてお気楽か。



A「いってきます」

誰もいなくなった部屋にポツリと呟いた
溜まったゴミ袋2つをもちアパートの階段を降りようとすると聞きなれた声が聞こえる



井口「Aちゃん、おはよー」


A「理くんおはよう、早いね」


井口「早いねって俺まだ一応学生ですから笑」


A「あ、そっか。理くんだけまだ大学生だった。忘れてたよ笑」


井口「一緒に行こうよ」



A「うんっ」

1-13→←1-11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す