ドライな恋

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井口「じゃ、おやすみ」



A「おやすみっ」



お互いが同じドアを開けてお互いの部屋へ帰宅
隣の部屋にいると考えたらなんだかそわそわして落ち着かない
ちょっとでも可愛い自分を見て欲しくて、理くんに可愛いって思って欲しくて。って思ってたけど、
理くんから見たらやっぱり友だちの中の1人なんだろう



＿＿＿＿＿＿＿




キャバ嬢だった時のドレスなどは捨てたり、ブランド物のバッグは売ってお金に変えた
常連さんが買ってくれたものもあったけど、使えそうなシンプルなバッグ以外は手放すことにした


メイクもナチュラルに仕上げたし、街を歩いても周りの人は誰も私が元キャバ嬢だなんて分からない


今は新しく働いているパン屋さんでのアルバイトを必死にしてるけど、キャバ嬢をしている時と比べるとだいぶお給料は少ないし、正直足りないとも思う
それでも社員さんたちやほかのバイトの子達の環境に恵まれて上手くやってる。



新井「こんにちは〜、あ、A」


A「いらっしゃ…和輝！」


井口「俺もいるよ〜」


A「さ、理くん…、！！」


店長「知り合い？テーブル案内してあげて」


A「はいっ、ここの席でいいかな？」


新井「ありがと〜」


井口「アイスコーヒーと、ミルクパンにしようかな」

新井「俺はカレーパン〜」


A「かしこまりました！」




こうやって、たまに和輝と理くんがお店に来てくれる
大丈夫？上手くやれてる？なんてお会計の時に言うもんだから、つい笑ってしまうけどそんな優しい理くんを見ていると私も心が暖かくなる



A「お待たせしました〜、アイスコーヒーと、ミルクパンに、カレーパンです。ごゆっくりどうぞっ」



井口「ありがとう〜」

新井「いただきまーす」





授業がない時は朝から夕方までバイトをして
授業がある時はまっすぐ家に帰る
キャバ嬢をしていた時は授業がある、ない関係なく夜はお酒を飲んで働きまくってたから生活リズムが整ってきて、健康志向にもなってきた


店長は元々パンを作るのが趣味で、他にも色んなレシピを教えて貰ってはスーパによって材料を買って帰り
家で実践することもある




＿＿＿＿＿＿＿


夕方になり、ようやくバイトを終え店を出ると
見慣れた姿の人が壁にもたれてタバコを吸っている



A(この匂い……)



井口「お、Aちゃんお疲れ様」

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