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3話:昼休みの出来事 ページ4

 
 
「ここに高梨ちゃんっている〜?」

そうやって顔を除かせたのは、確かバレー部の人。
目立つ長身、赤髪、ギョロギョロとした個性的な瞳で、恐る恐るクラスメイトがうちを指差した。

またバレー部? そう内心ため息をしつつ、その人に「なんですかね」と聞いた。

「キミが高梨ちゃん? なんか、思ったよりも普通なんだネ!」
「……はあ。そうですか。」

無自覚なのか、確信犯なのか、よくわからないけど。
こうやってはっきり物を言う態度で、一体どれだけの人を傷つけたんだろう。

心が強いってわけじゃないけど、伊達に辛い練習をやって来た訳じゃないし。
別に嫌だとは、感じなかった。

「ちょっと来て。とは言っても、予鈴の前には、ちゃあんと返すからさ。」
「構いませんが、」

ここで話せないってことだろうか。それとも、単純に人が多いからって理由?――

なんにせよ、クラスメイトに騒がれるぐらいなら、こっちの方が数倍マシだけど。

歩いて1分ほど、連れてこられたのは、人気(ひとけ)のない廊下。
ここは空き教室と資料室しかない階だから、人通りはとても少ない。
うちも2年間学校に通って、来たのは片手で数えられるほど。

「さてと。」

にへら、と胡散臭い笑みを浮かべて、その人はうちを見た。
……ギョロ、とした目で見られて、なんとなく目を背ける。見透かされそうな気がしたからだ。

「一応聞くけどサ、高梨ちゃんは、マネージャーになる気はない?」
「ありません。」

ふーん、と無関心に言うその人。
なら聞くな、とも思う。

「それが聞けたならいいケド。でもさー、カワイソウだね? 高梨ちゃん。」
「はい?」

何の話だ。
うちが? 可哀想? なんで。

そうやって聞けたらば苦労しないんだけど、さすがにそんな生意気なことは聞けない。
相手が話すことを待つ。

「――ああなったら、若利くん、なにがなんでも君を手に入れるヨ?」
「……」

それだけだから、じゃあね〜? そう言ってひらひらと手を振るその人。

『なにがなんでも』って……。絶対ハッタリだろ。
うちなんかマネージャーに向いてないし、やる気だってこれっぽっちもない。

「ご忠告、ありがとうございます。まぁ、マネージャーなんて、しませんけどね?」

心の奥底から『下らない』と笑えるように、見えなくなったバレー部の人へと、その言葉を吐いた。
 
 
 

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もちはま(プロフ) - BOXさん» コメント返しありがとうございます!頑張ってくださいね! (2017年9月20日 6時) (レス) id: 98e40afa3c (このIDを非表示/違反報告)
BOX(プロフ) - もちはまさん» コメントが速いだとっ…!? あ、ありがとうございます! 超うれしいです、頑張りますo(^o^)o (2017年9月19日 20時) (レス) id: d42c8aaeae (このIDを非表示/違反報告)
もちはま(プロフ) - 面白いです!主人公ちゃんのサバサバ感とか特に!応援してます!頑張ってください。 (2017年9月19日 20時) (レス) id: 98e40afa3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:BOX | 作成日時:2017年9月19日 20時

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