【50】屋台 ページ7
すっかり人はいなくなってしまった…すると彼女は俺の前に屈んでリュックを漁り出し、小さい布に消毒液をつけて俺の額の傷を優しく拭く。
『痛かったよね…ごめんね。』
「そんな…あ、貴方のせいじゃないですよ。』
緊張して目を合わせられないし声が震えてしまう。今の自分の顔はとんでもなく間抜けで、真っ赤っかに染まっているだろう。
彼女は素早く治療を終えて、バックの中を漁りながら首を傾げる。
『…いいや、いち早くあの状況に気づかなかった私にも非はあるさ…んー、君に何かしらしてあげないとな、』
彼女はポケットから財布を取り出し中身を確認すると、何か決意したように頷いて俺の手を引く。緊張で手汗が出ていないだろうか。
『ふ…そんなに緊張しなくて良いよ。そうだ、自己紹介がまだだったね。私はAって言うんけど、君は？』
「お、俺は黒羽快斗です。」
『へぇ快斗くんか、良い名前だね。ところで君は…ここに他の誰かと来ていたんじゃないか？』
何故それを…？俺が青子といた時から見ていたのか？
「は、はい、でもはぐれちゃって。」
『そうか、それなら早くその子の元に帰らなくてはね…その子に何か見せたいものもあったんでしょ？先程君が女の子の手を引っ張っている姿が目に留まってね。』
「えっと、それは…そいつが好きなマジック披露する屋台を見つけて、早く見せてやりたくて、」
『あぁ、そんな屋台もあったな…確かマジックを披露して一番賞賛が多かった人がトロフィーをもらえるって』
「でももう間に合わないし…あいつも迷子でどこにいるかわからな」
言いかけた時、突然俺の頭をぐりぐりと撫で回して笑った。
『開演時間は確か七時だったはず…まだ僅かだが時間はある、諦めるのはまだ早いさ。』
俺が言う間も与えずに、彼女はしゃがんで背を向ける。
『…あの子に見せたいんでしょ？』
「でも…」
『あの子のことは大丈夫…私が必ず見つけ出すから』
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あいりす(プロフ) - えっ!!凄い！オリジナル…(感激)語彙力からまとめる力から全てが神がかってる!!!めっちゃ応援します！更新待ってまーす♪ (8月18日 21時) (
レス) id: ef45f85bc9 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです。オリジナルが多くて驚きました。 (8月17日 16時) (レス) @page20 id: 2876b83137 (このIDを非表示/違反報告)
流百(プロフ) - 単純に嬉しいです。軽く泣きそうです。頑張ります！！！！ (2023年3月6日 17時) (レス) id: d8225e9a51 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 絵もお上手ですし文も読みやすい…！これは伸びるやつだ！更新頑張って下さい〜！ (2023年3月6日 0時) (レス) @page2 id: 925a09eca2 (このIDを非表示/違反報告)
流百(プロフ) - まみこさん» ありがとうございます！コメント本当に励みになってます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: d8225e9a51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流百 | 作成日時：2023年3月5日 21時
