【鬼滅の刃】家畜。【男主】

ち ページ10

君には、私の芸術の失敗作を差し上げます、と興奮気味に壺から出されたのは、変形した女性。

変な方向に曲げられた腕と、一本一本切り取られた指。
爪は交互に剥がされていて…っとこれ以上描写すると俺も読者も気分が悪くなると思うので割愛。
というかさりげなく家畜って言うな。

彼は芸術と言い張るのだが、少なくとも俺には理解できないので、これ以上言及するのは避けます。

壺は普通に綺麗だと思う。



『は、はぁ…ありがとうございます。』


彼は壺を作ることが趣味なのだろうか、では生前は芸術家だったり…？
あの、魚を彷彿とさせる姿にも、何かわけがあるのかもしれない。



考え込んでいると、突然脚に激痛が走った。




『ッッッ！！！！いったいじゃないですか！！食べるなら先に言ってください！』



右脚の方を見ると、脛当たりから先が無くなっている。

食べられる為に用意された俺でも、急に食べられては困る。
まず心の準備をさせてくれ、まだ慣れてないんだ。

服だってまだ脱いでないし！
俺のスラックスはボロボロのグチャグチャになりました。



「…つまらぬ、叫び声一つあげぬとは！」




『そんなこと言われても…、俺、そういう店の店員ではあるまいし…。
そういう役目を承る義理はないです！』



『俺、食べられる専門なので。』


「貴様！！家畜の分際でこの私に意見するな！！！これが私の芸術なのだ！！！」







おい俺、完全に一言余計だったぞ。
不機嫌な相手を煽ってどうする…。

自分が納得できないことには、すぐ応戦してしまうのも、俺の特徴らしい。
生前、俺の周りには人が居たのだろうか、ちょっと人間時代の俺が心配になってきた。




…とそんなこと考えている場合じゃない。


玉壺さんは、さっきまでのご機嫌な様子から反転、憤りすぎて頭の血管から血が出てしまうくらいにはお怒りの様子である。
絶対地雷踏んだ。


というか、悪趣味すぎないか。
彼の芸術感を否定するつもりはないが、少なくとも俺とは合わないし、まず俺を使って自分にとっての芸術作品を成立させようとしないでくれ。
もしそのまま体が戻らなかったら非常に困る、絶対変なのにされる。

こ、こわ、鬼って怖い。

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