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ガタ、と音がなる。コネシマが立ち上がったのだ。ウッドテーブルが揺れ、女が驚いたように顔を上げる。
「……やめろや、その顔。」
「何。どしたの。」
また笑う。柄にもなく泣きたくなった。その顔は嫌いだ。笑っているのに撥ね付けられているようで腹が立つ。
真夏の熱気にゆらりと蜃気楼が遠くで揺らめく。汗一つかかず涼しげな顔をするAはあまりにも浮き世離れしていて、一瞬でも目を離せばそれこそ蜃気楼かのように消えてしまう気がした。
逆光で顔がよく見えない。暗い。遠い。
いやだ。それはいやだ。
「ちょっと……何？なに、なに、ふふ……本当どしたの？」
「うっさいねん。」
手を伸ばす。触れる直前まで本当に消えてしまう気がして指先が震えた。馬鹿みたいだと頭の中でコネシマは思う。けれど恐怖は本物で、体は正直だった。
ひた、と女の頬に手を触れる。
冷たい。
氷のように、なんてフィクションでもあるまいしそんなことはないのだけれど、それでもこのクソ暑いのに体調でも悪いんじゃないか、と疑うくらいには女の頬は冷たかった。
死人の体温はこんな風なのか、と考えて心臓が潰れそうになった。じい、と女がコネシマを見る。ビー玉のような瞳だ。その瞳に、何とも情けない顔の自分が映っている。
思わずもう片方の手も女の頬に添える。そのままぐりぐりと乱暴にこねくりまわした。
「ちょっとちょっと、なになに。……ん〜、あついって。なに……コネシマくん変だよ。」
「やめろ。気に入らんわその顔、おまえ、ほんま、……。」
生まれつきなんだから顔はしょうがないでしょ〜、と頬を揉みくちゃにされながらAはおかしそうに笑う。
ああ、そっちの方がいくらかまだマシだ。
自分の手の温度がコイツに移ればいい。
お前がお前でおられんくなるくらい、お前が溶けるくらい、俺の体温が移ればいい。
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上原蒼(プロフ) - この小説めちゃくちゃ好きです。寥、銀世界、を読んだときに心がきゅっとしました。語彙力なくてうまく伝えられないのですが、こんな感じのすきなのでテンション上がりました((更新頑張ってください応援してます。 (2020年3月19日 20時) (
レス) id: 908de47cf9 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ラスさん» ラスさんはじめまして。コメントありがとうございます。ぜひぜひ！自分の描いた文章が漫画になるなんて夢みたいです……嬉しいです。差し支えなければ、完成した際にはぜひ私にご一報ください。(見たいので！！) (2020年3月18日 18時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 大変失礼だということは充分承知しております。が、どうしても欲求が抑えきれず、このようなお願いをしている形になります。もちろん個人観賞用ですので晒したり、自作発言などは一切しません。良いお返事が帰ってくることを期待しております。よろしくお願いします。 (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 初めまして。好きでs(((失礼しました。敬愛する貴方へ。を読ませていただきました。文の中に惹き込まれるような素敵な物語でした。ここで失礼を申してお願いがあります。個人観賞用として物語に沿った漫画を書かせていただきたいのです。(続きます) (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ビリーさん» お返事が遅くなりすみません。申し訳ない、だなんてそんなことはないですよ！好き、だけで充分です。とっても嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年2月24日 9時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2020年1月13日 21時
