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オスマンの場合
「A、可愛い。可愛い。」
お人形さんみたいやねえ。
アンティークの椅子に私を座らせたマンちゃんに、うっとりと微笑まれて身がすくんだ。その笑顔は、心臓に悪い。
深緑色のワンピース。リボンとフリルがたっぷりとあしらわれたそれは、彼のリクエスト。マンちゃんロリータが好きなの？と聞くと、夢があるやんと頷かれた。
「露出が少ないのが、好きなんよ。」
首までしっかりとつまった襟と、重厚なボタンが隙無く留める、シャツの袖口。そして手袋。膝丈のスカートから伸びる足は、レースのソックスで覆われている。
男の人は肌を出した方が喜ぶのかと思ってた。なんて安直な意見を言えばマンちゃんは肩を竦めてわかっとらんねえ、と言った。曰く見えない魅力とやらがあるらしい。
「だって、」
「あ。」
するりと膝をマンちゃんの手が這う。太もものガーターベルト。素足とベルトとの間に指を滑り込ませてマンちゃんが妖艶に笑った。
「暴く楽しみがあるやんか。」
鬱先生の場合
「かわええよ。」
「…………しねば？」
げほ、と咳き込めば唇から溢れるのは鮮血。ぐるぐると視界が回って気持ちが悪い。手足が痺れる。先から冷たくなっていくそれが、私の最後が近いことを告げている。
ああ、結構楽しかったの。ここで過ごした日々。うっかり寝返ってしまおうかだなんて思ったことも一度や二度じゃない。
「いつ、から？」
「キミがここに来たときから。」
「……。」
随分演技の上手い連中だ、と皮肉ろうとして、できなかった。もう口が回らないのだ。
「でも、ほんとのこと知っとんのは僕とぐるちゃんだけ。泳がしとったのは、僕がそうしてって言うたから。」
でも、さすがに怒られてもた。もうあかんて。鬱先生の手が、優しく頭を撫でる。唇から溢れた血を拭って微笑んだ。
「ただ、なあ。やっぱりなあ。しおらしくしとるAちゃんもええけど、僕は負けん気が強いAちゃんも好きやったんよ。」
だからせめて最後は、僕が。
私が最後に見たのは、見たこともないくらいに優しく微笑む彼と、その背後で窓越しに煌々と煌めく満月だった。
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上原蒼(プロフ) - この小説めちゃくちゃ好きです。寥、銀世界、を読んだときに心がきゅっとしました。語彙力なくてうまく伝えられないのですが、こんな感じのすきなのでテンション上がりました((更新頑張ってください応援してます。 (2020年3月19日 20時) (
レス) id: 908de47cf9 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ラスさん» ラスさんはじめまして。コメントありがとうございます。ぜひぜひ！自分の描いた文章が漫画になるなんて夢みたいです……嬉しいです。差し支えなければ、完成した際にはぜひ私にご一報ください。(見たいので！！) (2020年3月18日 18時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 大変失礼だということは充分承知しております。が、どうしても欲求が抑えきれず、このようなお願いをしている形になります。もちろん個人観賞用ですので晒したり、自作発言などは一切しません。良いお返事が帰ってくることを期待しております。よろしくお願いします。 (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 初めまして。好きでs(((失礼しました。敬愛する貴方へ。を読ませていただきました。文の中に惹き込まれるような素敵な物語でした。ここで失礼を申してお願いがあります。個人観賞用として物語に沿った漫画を書かせていただきたいのです。(続きます) (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ビリーさん» お返事が遅くなりすみません。申し訳ない、だなんてそんなことはないですよ！好き、だけで充分です。とっても嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年2月24日 9時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2020年1月13日 21時
