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「Aちゃん。」
消え入りそうに掠れた声。罪悪感、自己嫌悪、焦燥に濡れた瞳が不安定に揺れる。この時が、一番気が気じゃない。彼のどうしようもなく肥大化した感情の矛先が、彼自身に向いてしまいやしないかと。
小刻みに戦慄く指先が、確かめるように頬に触れた。
「あ、あ。あ。」
嗚咽を漏らすように、言葉にならない声が血色の悪い唇からこぼれる。
そのまま何度か親指が頬をなで、脱力したように私に覆い被さった。めがね、悪くなっちゃうよとそうっと外してやれば、うん、うんと繰り返して素直に応じた。濃い煙草の香りに、何故だかどうしようもなく悲しくなった。
「ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。」
繰り返されるその言葉が泣いている気がして、彼の髪をすく。頭を撫でられると落ち着くのだと、いつだか鬱くんは言っていた。さらさら。つやつや。指通りのいい髪。ぼろぼろの中身と嫌に整えられた上っ面が滑稽なくらいにアンバランスで、私はいつも苦しくなる。
「……鬱くんは、がんばり屋さんだからね。しんどくなっちゃったんだよ。」
「ん。……うん……。」
絆すように、脳に直接ねじ込むように甘い言葉をかけ続ける。この状態の鬱くんにはこれがいちばんきくことを私は知っている。
「……めん。ごめん。好きやねん。いちばん、好きやの。ごめんなあ。な。なあ。……。」
すき、すき、すき。壊れたラジオのように繰り返す鬱くん。
「うん。うん。わたしも好き。」
しばらくすれば、それもだんだん舌足らずになって、やがては寝息に変わる。
ああ。人一倍がんばり屋で、どうしようもなく弱い貴方が明日もちゃんと、生きられるように。
「おやすみ鬱くん。」
全て無かったことにしてどうか、いい夢を。
メメント･モリ
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上原蒼(プロフ) - この小説めちゃくちゃ好きです。寥、銀世界、を読んだときに心がきゅっとしました。語彙力なくてうまく伝えられないのですが、こんな感じのすきなのでテンション上がりました((更新頑張ってください応援してます。 (2020年3月19日 20時) (
レス) id: 908de47cf9 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ラスさん» ラスさんはじめまして。コメントありがとうございます。ぜひぜひ！自分の描いた文章が漫画になるなんて夢みたいです……嬉しいです。差し支えなければ、完成した際にはぜひ私にご一報ください。(見たいので！！) (2020年3月18日 18時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 大変失礼だということは充分承知しております。が、どうしても欲求が抑えきれず、このようなお願いをしている形になります。もちろん個人観賞用ですので晒したり、自作発言などは一切しません。良いお返事が帰ってくることを期待しております。よろしくお願いします。 (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 初めまして。好きでs(((失礼しました。敬愛する貴方へ。を読ませていただきました。文の中に惹き込まれるような素敵な物語でした。ここで失礼を申してお願いがあります。個人観賞用として物語に沿った漫画を書かせていただきたいのです。(続きます) (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ビリーさん» お返事が遅くなりすみません。申し訳ない、だなんてそんなことはないですよ！好き、だけで充分です。とっても嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年2月24日 9時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2020年1月13日 21時
