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「……鬱くん。」
「聞きたないわ。Aちゃん、嘘つきや。なあ、いつ、死んでくれるん？」
く、と首にかかった手にほんの少し力がかかる。優しくて意気地無しの彼には、まだ理性が残っている。
これ以上間違えてはいけない。絶対にだ。
私は一つ息をついて、そのまま自分の首にかかる鬱くんの手に自分の手を重ねた。
「絞めても、いいよ。」
「う……そや。死にたないくせに。僕とはいやなんやろ。」
「嘘じゃないよ。いいよ。」
「……っ！！」
ぐっと、今度はさっきとは比べ物にならないくらいに力が籠った。
全く、そんなひ弱そうな体のどこにそんな力があるんだろう。
死のう、死のうと譫言のように呟く鬱くんの爪が私の皮膚に食い込む。濃紺の髪の隙間から覗く濁った瞳にはうっすらと透明な膜が張っていた。そんな顔をするくらいなら、始めからこんなことしないで欲しい。
苦しい。顔に血液が集まっていく。瞳がきょろきょろと忙しなく、意思に反して動き出す。
「う、つく ん。」
「あ、や。やだ、や、いやや、死なんで。死なんで。なんで僕のこと置いていくん。なあ、いやや、おれ、そんなの、やや、死なんで。死なんで。あ。あ。」
「……。」
言っていることとしていることが違うでしょう。
一人称がぐちゃぐちゃになるのは彼の感情がそれだけ不安定な証拠だ。目映い白がちらつく視界。震える手を伸ばす。そっと頬に手を添えれば、ひくひくと痙攣しているのが感じて取れた。
大丈夫。大丈夫。まだ、間違ってない。
「だいじょ、ぶ。」
「！」
唇の端からたらりと涎が垂れる。
途端、弾かれたように鬱くんが私から飛び退いた。
気道が圧迫から解放されて、かひゅ、と変な音を立てた。それまで塞き止められていた酸素が一気に脳に雪崩れ込んでくる。急激なそれに目の前がチカチカして、とてもじゃないけど体を起こせない。
げほげほと咳き込む。足りない酸素を求めて、肺がこれでもかと膨らんで苦しい。生にしがみついて無様な呼吸を繰り返す私を、鬱くんが呆気に取られたように見下ろしていた。
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上原蒼(プロフ) - この小説めちゃくちゃ好きです。寥、銀世界、を読んだときに心がきゅっとしました。語彙力なくてうまく伝えられないのですが、こんな感じのすきなのでテンション上がりました((更新頑張ってください応援してます。 (2020年3月19日 20時) (
レス) id: 908de47cf9 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ラスさん» ラスさんはじめまして。コメントありがとうございます。ぜひぜひ！自分の描いた文章が漫画になるなんて夢みたいです……嬉しいです。差し支えなければ、完成した際にはぜひ私にご一報ください。(見たいので！！) (2020年3月18日 18時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 大変失礼だということは充分承知しております。が、どうしても欲求が抑えきれず、このようなお願いをしている形になります。もちろん個人観賞用ですので晒したり、自作発言などは一切しません。良いお返事が帰ってくることを期待しております。よろしくお願いします。 (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 初めまして。好きでs(((失礼しました。敬愛する貴方へ。を読ませていただきました。文の中に惹き込まれるような素敵な物語でした。ここで失礼を申してお願いがあります。個人観賞用として物語に沿った漫画を書かせていただきたいのです。(続きます) (2020年3月18日 10時) (レス) id: b23ccd4b10 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ビリーさん» お返事が遅くなりすみません。申し訳ない、だなんてそんなことはないですよ！好き、だけで充分です。とっても嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年2月24日 9時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2020年1月13日 21時
