ケージ:91 ページ44
「ショッピさん。」
「キャスのホワイトなら……いけますかね。あー、いや、もう俺のでも……。」
「……ショッピさん。」
「はい、咥えて。」
「ぅむ、……っショッピさん……！」
目の前に差し出された煙草。苦さの中に、ふわりと漂う甘い香り。唇に押し付けられるそれから顔を逸らして、私は抗議すべく声をあげる。
なんすか、と鬱陶しげな声。
「は、はなしてください。」
「なんで？」
「だって、私もう、部屋に戻らないと」
「別にいいじゃないすか。就寝時間が決まってる訳でもないんですし。」
「……！」
肩に顎をのせられて、体がびくつく。後ろから囲うような形でベッドに座らされているから逃げられない。カチ、と音がしてライターの火が着く。
「物欲しそうな目してたんで、吸いたいんかなあ、と。」
「そういうわけでは……。」
本当に吸いたかった訳ではないのだ。ただ本当に、何となく見ていただけ。
むしろ私が考えていたことは、ロボロさんのことで。
「……また、考え事してる。」
ぼそ、とショッピさんが呟いて、ライターを取り出した。白い煙草の先端に、赤い火が点る。
華奢な指先が煙草を挟んで、その先端から煙が立ち上った。
そのままショッピさんが煙草を咥える。
「火ィつけた直後は、吸わんと、吐いてください。まずいんで。今日は、おれがやりますけど。」
背後から煙が吹き掛けられる。
甘いけれど、苦い。
あんまり至近距離で絡み付いてくるものだから、噎せそうになった。
「咥えて。」
「や……ま、まっ。」
「……はやく。」
「そっ、それ、しょぴ、さんの……！」
すり、と少し湿った煙草の口が唇をなぞる。むず痒くてほんの少し口を開いたのを、ショッピさんは見逃さなかった。
隙ありとばかりに口の中に煙草が滑り込んでくる。
「っ……！」
「吸って。」
どうしようもない。言われた通りに吸ってみる。恐る恐るで吸うと、口の中に何とも言えない味が広がって、喉が締まった。じわ、と目元に生理的な涙が浮かぶ。
「うぇ、っ……。」
「へたくそ。」
盛大に噎せる私を、ニヤニヤしながらショッピさんが覗き込む。「肺で吸うんすよ」と言うと慣れた様子で口元に煙草をやって、吸い込んだ。
ぷかりと煙が宙に浮く。私が口をつけたものなのに、ショッピさんは気にしないのだろうか。
「もっかい。」
再び唇を撫でる煙草。ショッピさんは離してくれない。
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えある。 - zmさんかわです。天才がここにいるっ!主さん神ですね！応援してます〜 (2023年4月6日 10時) (
レス) @page16 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - ゾムさんが可愛すぎるっぴ…キャラ崩壊してるっぴ。いつものかっけえゾムさんどこ言ったんだ……最高 (2020年4月13日 15時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - (´ω`)ｳﾄﾞﾝﾀﾍﾞﾀｲさん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、もったいないくらいです。とっても嬉しいです。自己満で書き始めたものですが、少しでも多くの人に楽しんでもらえれば幸いです。 (2020年2月26日 20時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - neccoさん» コメントありがとうございます。アワ……めちゃめちゃ恐縮ですが嬉しいです。応援もありがとうございます、こつこつがんばっていきます。 (2020年2月26日 20時) (レス) id: bceee2f54e (このIDを非表示/違反報告)
(´ω`)ｳﾄﾞﾝﾀﾍﾞﾀｲ - ちくわさんの書く小説ほんと好きです！語彙力があるところ、表現の仕方がとても素敵です。リピーター続出ですね(*´-`) (2020年2月25日 22時) (レス) id: 43fae56533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2019年9月29日 11時
