志摩ちゃんうふふ。 (ページ47)

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軽快な音と共にドアを開くと、Aの手を後ろで縛りこめかみ辺りに銃口を当てた男が立っていた。
掴みかかりそうになるのを抑え、Aと目を合わせる。目に涙を溜めながらも驚いているのが分かった。

「お前がこいつの恋人か？」

「はい。そうですが」

「こいつ殺してやるよ！」

「その前に、何故こんな事をしているんですか？」

今自分は、冷静を装えているだろうか。

「はぁ？！お前警察か？！話が違うぞ！」

「嘘はついてない。彼女の恋人だ。何故こんな事をするんだ」

「うるさい！お前には分からないだろ！仕事クビになって彼女にも振られた、婚約までしてたのに！お前らみたいな普通のカップルみてるとムシャクシャするんだよ！」

「あぁ、分からないな。俺とお前は違う。でもそれで無差別に人を危険に晒していい理由にはならない」

「黙れ！」

その瞬間、立川の手に力が入り拳銃がカチ、と僅かな音を鳴らす。反射的にガンホルダーに手が伸び、あいつが引き金を引く前にと立川の太ももスレスレを狙って打った。無線から伊吹の声が聞こえるが、構っている暇は無い。
立川が太ももを抑えている隙にAの手を引き、自分の後ろに隠す。立川は傷がそれほど深くない事に気づいたのか真っ赤になりながらこちらに銃口を向ける。今度は引き金に指を掛ける前に回し蹴りで拳銃だけを飛ばした。

「犯人確保！伊吹！来い！」

猛スピードで店内に入ってくる伊吹に立川を預け、座り込んでいるAに駆け寄る。

「A」

『かず、、くん、かずくん、』

さっきまで溜めに溜めていた涙がボロボロと溢れる。
立ち上がる力さえ入らない体を精一杯抱き締める。
縋るように回される腕は震え、それでいて安心感に溢れているようだった。