志摩ちゃんうふふ。 (ページ38)

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おぉー！しまー！

そう賑やかに迎えられたのは今から30分程前だ。
最初のうちは5人でワイワイと呑んでいたのだが、そのうち、俺、九重、陣馬さんとA、伊吹の2グループに別れていた。それはいい。全然いい。
だが、チラチラと見えるAがまぁ楽しそうで。
伊吹と何を話しているのかは分からないが、会話の度に見せる笑顔がとてもキラキラとしていた。それと同時に、あぁ、この笑顔に惚れたんだよな、と思い出す。

「おーい志摩ぁ、聞いてんのかぁ？｣

「聞いてますよ、あと陣馬さん飲みすぎ｣

｢そうですよー、飲みすぎは体に悪いです」

「九ちゃんもね｣

そういえばよー、と最近の密行中にあった出来事を話し出す陣馬。チラッとAの方を見ると先程と変わらない笑顔と、少し赤らんだ顔があった。どこか照れているような顔。その瞬間、さっきまで誤魔化していたモヤモヤとした感覚が一気に胸を支配した。
なぜ、そんな顔をするのか。伊吹と何を話したのか。
考えなくても分かる。これは嫉妬だ。伊吹に嫉妬しているのだ。伊吹にもAにもその気は無い事は分かりきっている。心配もしていない。だけど、何度言い聞かせてもこの感情が収まることはなかった。
それだけじゃ無い。仲良さげに話す2人の元に行けない。何を話していたのかすら聞きに行けない自分の不甲斐なさに腹が立った。

「………よし！今日はここらで終わりにすっか！｣

突然陣馬が声をあげた。

「え～陣馬さん今日早くなぁい？｣

「いんだよ、明日当番だろ｣

志摩は内心ホッとしていた。陣馬が志摩の様子に気づいていたのかは分からないが、志摩は心の中で陣馬に礼を言う。
名残惜しそうな伊吹と珍しそうに陣馬を見る九重。
陣馬が酔っている状態でみんなをスムーズに返す事が珍しいからだろう。

「夏帆ちゃん！またね～！｣

『はい！ありがとうございました！』

気の利いた事を言える訳もなく、ただAの手を引いて早足で車に戻る。Aは何か言いたげな素振りを見せるも、何も言っては来なかった。