志摩ちゃんうふふ。 (ページ2)

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君の声ページ2

_消えない悲しみも綻びも貴方といれば

それで良かったねと笑えるのがどんなに嬉しいか_

包まれるような暖かい光と歌声で目を覚ます。
開けられた窓から春らしい心地いい風が吹き込んでくる。原曲よりもスローテンポでギターアレンジされたその曲は、彼の声質にはぴったりだった。
兄の影響で始めたというギターも独学とは思えないほどの腕前。

手元のスマホは午後3時を示す。ソファで眠っていた様だ。働かなくなる思考を合図に再び瞼が落ちていく。そんな時、ギターと彼の歌声が止まる。その代わりに鳴り響く彼のスマホ。相手が表示されているであろう画面を見て、舌打ちを零す彼。あら、ご機嫌ななめですか？

「なんだ」

(あ、志摩～？今暇～？)

スピーカーにしていないにも関わらず相手の声が丸聞こえなのは、相手の声が大きいのか、周りが静かすぎるのか。

「暇じゃない。用がないなら切るぞ。ていうかお前こんな時間から酔ってんじゃねぇよ。」

(あ、バレた～？今さぁ九ちゃんと陣馬さんと飲んでるんだけどさー。)

切るぞ、と言いながら切らないのも彼らしい。

(前さー陣馬さんが朝4時に靴脱ぐって話したじゃん？
陣馬さんの娘ちゃんが幼稚園ぐらいの時に、パパ臭い！いや！って言われちゃったらしくってさー)

ため息をつき、スマホを通話中のまま室外機の上に置く。

すっかり眠気が覚めた私は背後からそーっと彼に近づく。が、気配か何かに気づき、振り向いてしまった。クソ、警察官め。

〈同僚さん？〉

〈相棒〉

なぜか口パクでの会話になってしまったが、どちらもツッコまず、彼の隣の椅子に腰掛けた。

(ねーえー、志摩聞いてる？)