栞 〔 インポッシブル 〕 ページ7
．
「だれ、ですかね」
知らないふたりが病室に駆け込んできてしまい、慌てて出した答えがこれだった。どうやら劇場に向かうまでに事故にあってしまったらしく、1部だけ、記憶が欠けてしまったらしい。
「ほんとなんだ‥」
そう嗄れた声で悲しそうな顔をする男性に胸がいたくなった。もう片方の人は狭いおでこにしわを寄せて悩んでいるようで。
「なんか、ごめんなさい」
「いやいや、いいんだよ。全然気にしないで」
「こっちこそごめんね、怖かったよね」
「いえ、全然。怖いというより、少し安心感もありましたよ」
そう微笑んでみせると2人は顔を見合わせて少し喜んでいるように見えた。そこから彼らは自己紹介を、とはきはき話し始めた。
「えーと、吉本でインポッシブルって芸人をやってます、蛭川って言うからひるちゃんって呼んでね」
「ひるちゃんの相方のえいじ。Aちゃんからはそのままひるちゃんとえいじって呼ばれてたから、好きに呼んで」
「じゃ、そのまんまで」
簡単な自己紹介を終え、インポッシブルのふたりは帰ってしまった。少しさみしい気持ちと相まってえいじが渡してくれた本を手に取った。
「あれ、栞挟んだまんまだ」
栞の挟まれているページをぱらぱらと捲るとそこにはわたしが昔、
「っ、」
ひるちゃんに
(このセリフね、ほんと好きなんだ)
教えてもらったものだ。
「Aちゃ、え！？なんで泣いてんの？！」
「えいじ、ひるちゃん、あのね、思い出したよ」
「早！なんで！？」
「この本、ひるちゃんがすきなやつでしょ」
「もしかして、それで？」
「そうなの。なんか、変だねえ」
その後は退院の手続きやらなんやらでてんやわんやだった。インポッシブルのふたりはというとそりゃまあ喜んでくれたらしく。劇場も大盛況だったらしい。
「思い出してくれてありがとうね」
「ほんと、思い出さなかったらどうしようかと」
「はは、ホントだね。思い出せてよかったなあ」
．
フォルテシモの鼓動 〔 盛山 〕→←におい 〔 伊藤幸司 〕
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ゆいみょん - 脱字申し訳ございません。甘酸っぱいストーリーを希望しております、よろしくお願いしますm(_ _)m (2021年5月24日 0時) (
レス) id: 81b8449bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいみょん - 伊藤さん» ありがとうございます、楽しみにしております！甘酸っぱい感じのストーリーが細かいシチュエーションなどは伊藤様にお任せします、よろしくお願いしますm(_ _)m (2021年5月24日 0時) (レス) id: 81b8449bb6 (このIDを非表示/違反報告)
伊藤(プロフ) - ゆいみょんさん» ゆいみょん様、初めまして。コメントありがとうございます。承知致しました、移行先での消化となりますがよろしければ書かせて頂きたいなと思います。 (2021年5月23日 13時) (レス) id: 31619474bd (このIDを非表示/違反報告)
ゆいみょん - はじめまして、リクエストをお願いしたいのですが、ハナコ秋山さんは可能でしょうか？？ (2021年5月23日 1時) (レス) id: 81b8449bb6 (このIDを非表示/違反報告)
伊藤(プロフ) - なおひとさん» はじめまして！良かったです！私も辻さん大好きなので（笑）よろこんでいただけて良かったです！ (2021年5月22日 23時) (レス) id: 31619474bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊藤 | 作成日時：2021年4月16日 22時
